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転覆の兆し

胸の中にともっていたはずの灯を
見つけられないまま、今夜も、あけてゆく

太陽の光は、あたたかく、そして残酷に、全てを照らすから
探さなくてはわからないようなその灯は覆い隠されてしまうことだろう
見つけられないようなその熱は覆い隠されてしまうことだろう

恐れているのだ
怯えているのだ
その陰を、その隅を、突いてしまって出てくるかもしれない何かを
その裏を、その先を、のぞいてしまってわかってしまうかもしれない何かを
見えていないはずの、黒光りしたアイツが見える。
数mmの隙が、呼び込む実体
柔軟性を突き詰めた異物が、息を潜める、幻影

奴らが好むは残飯だ。
けれども、出来立てが嫌いだなんて、誰も確かめてはいないのだ
ホカホカと湯気を立てるスープにまた、隠されてしまうわたしのランプ
ああ、あたたかい、あたたかい
エネルギーをとりこむ喜びに満たされる体、細胞、そして機能
そして、また、見失う
みうしない、かわりに、影が、ちらつく

しりたくないのだ
みたくないのだ
向き合うことを、恐れているのだ
黒光りする、幻影。
そして、ふりふりと、ゆすられる、それ。
音楽のように、タクトのように

ゆらり、ゆら

もう、どこを見たって、隙間だらけだ。


また、夜が来る
怯えている、わたしは、膝を抱えて、また、明けるのを、待つ
灯はきっと、みつからない
きっとそうだと、言えずにいるまま

サポートいただけたらムスメズに美味しいもの食べさせるか、わたしがドトります。 小躍りしながら。