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王柏融に伝えたいこと

今これを開いたあなたが王柏融の現状について大真面目に語る文章を期待しているのなら、今すぐこのページを閉じてほしい。これから始まるのは王柏融を応援している一人の人間が何のデータも根拠もなく感情を垂れ流すだけの見苦しい駄文である。





…………もう去ったね?こんな駄文を読むつもりがあるのはここにいるのは同じように王柏融に魅せられているファンか暇を持て余している余程の物好きだね?ではいきます。






来日2年目の助っ人外国人、王柏融の現在の立ち位置は正直言って好ましくない。打で結果を残せていない以上仕方がないのだが、一度二軍に降格したのち一軍に戻ってきたはいいもののスタメン出場はほとんどなく、代打1打席あるかないかの状況に身を置いている。同じ一軍の控えメンバーの中には代打の打席すらなかなか当たらない選手もいる中、これは「恵まれている」方なのかもしれない。だが、王柏融はベンチを温めてたまに代打に出るために故郷台湾から日本くんだりまで来たわけではないはずだ。もちろん二軍で無双するために来ているわけでもない。日本のプロ野球、一軍の舞台で活躍して故郷にその輝きを届けるために渡日したに違いないのだ。現状は全く本意ではないだろう。

王柏融の力が足りないわけでは決してない。去年は負傷に次ぐ負傷で思うようなシーズンを過ごせなかったが、その中でも少なくない日本のファンを魅了するだけのプレーを見せてくれた。台湾での華々しい成績を驕ることなく、コーチの指導を素直に受け入れて練習に取り組む姿も見られる。大事なことなのでもう一度言うが、力が足りないわけではない。もし足りていないのならばベンチにすらその姿はないだろう。一軍で活躍した経験があってその後なかなか力を発揮できない選手というのは錆びついた歯車のようなもので、潤滑油をさしたり磨いたりしながら動かし続けることでいつか必ず輝きを取り戻して動き続けるようになるものだ。今はふるわなくても、また活躍できる日はきっと来る。……そう考えていてもなおもどかしい思いを抱き続けているのだけれど。

いちファンとしては、そりゃあスタメンで毎日出場してヒットを連発する姿が見たい。応援する相手が違っても、好きな選手に活躍してほしいという気持ちはみんな一緒だろうから、そこは理解してもらえると思っている。今の調子が良くなくても、試合に出続けていれば何かのきっかけで開花するんじゃないかという期待…というよりは願望をいつも抱いていて、毎日のスタメン発表で少し落胆しては気持ちを切り替えてチームの応援にエネルギーを向け、途中出場した時に全力応援するようにしている。今は声は出せないけれどね。

試合に出られていない間も、フォトや動画などでベンチの中でチームの仲間と楽しそうにしている姿が見られるとそれはそれで嬉しい。怪我に振り回された去年はそう思えるだけの余裕がなかった。ホームラン後のCAM田(命名矢野コーチ)に参加する様子などを見ていると、かなりファイターズ色に染まってきているな、と感じる。実はかなりの悪戯っ子だという側面がこれからどんどん出てくるといい。きっともっと沢山の人に愛されるようになるから、露出よ増えろ!と願うばかりである。

多くの人に興味を持ってもらえるのならば入口はなんでもいい。そもそも自分自身、王柏融に興味を持ったきっかけは本人のプレーや人柄に関係のない『応援歌』だった。長い前奏、斬新なコール。闘将会、気合い入ってるなあ!早く歌いたいなあ!ズイチャンワンでジンパイワンなボーロンダーワンってどんな奴だ?最強?ナンバーワン?台湾の大王?何だそれ期待しかない!そんなワクワクを抱いて昨季の開幕を迎えた。そしてシーズン序盤、まだ人物像が掴めていない中タイムリー談話で出てくる言葉がいつも自分本位ではなく「チームのために」なことに好感を抱くようになった。決定打は札幌ドームでの初めてのお立ち台である。不安そうにスタンドを見渡す表情、そして自分がどうやら受け入れられたらしいことに安心したかのような笑顔。あれに一発でやられた。あの日、自分の中で王柏融は「台湾の大王」ではなく「ファイターズの王柏融」になったのだ。


助っ人外国人はとにかく厳しい評価の対象にされやすい。誰かの「思い入れのある相手」である可能性が低いのもあってかあんまりな言葉を投げかけられやすい。けれど外国人選手たちだってファイターズの一員であり、人一倍チームを愛してくれている。愛には愛で返したいじゃないか。いつかチームを去るときには悪い記憶じゃなく愛された良い思い出を持って帰って貰いたいじゃないか。ファイターズに来る助っ人外国人たちは皆人柄を知れば知るほど愛せてしまうナイスガイばかりだから、思い入れも強くなるというものである。彼らが言葉がなかなか通じず頼れる相手も少ない異国の地で懸命に、真剣に、チームのためにプレーしているということを考えると応援せずにはいられない。だから自分は彼らの調子や周りの声がどうであろうと見守り応援し続けると決めている。マルティネス、そして王柏融のことは特にね。


昨シーズン着けていた99番という大きい数字を一年で脱ぎ、3番を背負い臨んだシーズン。長年3番を背負っていた賢介からの申し出を熟慮の上で受けたとはいえ、その番号を特別視するファンからの視線は厳しい。彼は背負いこむタイプの選手だから、今その背中に“3”という小さい数字の何十倍、何百倍もの重みを感じているはずだ。だが王柏融の座右の銘はグッズになったように「擁抱壓力的勇氣」…プレッシャーを抱く勇気、という意味である。自身が成長するためにあえて背負った重圧。近いうちにその重さを跳ね除けるほどの力を手にし、長く活躍する選手になってくれるだろう。


さて、9月9日はそんな王柏融の誕生日である。生まれてきてくれてありがとう。勇気を持って日本に来てくれてありがとう。ファイターズに来てくれてありがとう。届かないと知ってはいるが心からの「ありがとう/謝謝」を王柏融に贈りたい。また一年、ファイターズで過ごす日々が良きものになりますように。

祝你生日快樂!希望對柏融而言,這將會是美好的一年!加油!






前置きで遊んだりその後いらんこと長々と話したりしたけれど、伝えたいことは「誕生日おめでとう」だけだったという話。本来一行で済む話の照れ隠し部分にここまでお付き合い頂いた方はごめんなさい。お時間いただきありがとうございました。ついでに王柏融の誕生日を祝うお時間もいただけると幸いです。





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