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中田が、いなくなった。

青天の霹靂だった。

北海道日本ハムファイターズは本日8月20日(金)、中田翔選手のトレードによる移籍について、読売ジャイアンツと合意しましたので、お知らせします。

え?何がどうなってる?移籍?会見は?出場停止処分は?と色々なことが脳裏をめぐり、先ず出てきた言葉は「嘘だろ!?」だった。

青天の霹靂とは言ったものの、前兆はあった。暴力行為による出場停止処分についてコメントを求められ、栗山監督が出した答えは「このチームではちょっと(復帰は)難しいかもしれない」だったからだ。信じたくはなかったが、監督在任期間中ずっと中田を四番に据え目をかけてきた、誰よりも中田翔を想う栗山監督が発した言葉だったから受けとめざるを得なかった。ただ、そうは言ってもこの時点で別れがこんなに唐突で一方的なものになると考えていた者はいただろうか。今シーズンいっぱい謹慎させて改めて今後の去就を判断するのではないかなどと今考えると随分甘いことを考えていた者もいたくらいだ(自分だが)、「後日本人が会見をする」「一度裸になって謝る」という言葉も同時に語られていたため、その日をじりじりと待っていたファンは多いはずだ。

だというのにそれから最初に目にした、耳にした中田翔の言葉は「読売ジャイアンツの中田翔」の言葉だったのだ。ファイターズファンらへの感謝と謝罪の言葉こそあれど、そこにはもう「北海道日本ハムファイターズの中田翔」はいなかったのだ。この衝撃を表現するには、どんなに言葉を尽くしても足りない。

前述のとおり、中田翔は長い間ファイターズの四番打者に座り続けてきたチームの中心であり、顔だった。苦しみも喜びも失敗も成功もずっと見続けてきた相手だからこそ、今回の過ちを反省しやり直す過程も寄り添って見守りたかったという気持ちがあった。だが被害者の心情を慮ると今の環境のままではいられない、違う環境で再スタートさせたいというのは理解できる。ただ余りに急すぎる。別れの場もない。アンパンマンのように、「新しい顔よ!」で全てが解決すると思っているのだろうか。古い顔をこそ愛していた気持ちは、どこにやればいいのだろう。

今回の一連の騒動で、ファイターズに未だかつてないほどの逆風が吹いている。ファンの間でも球団への不信感が高まり、気持ちが離れてしまった人もいる。そんな空気を変えてくれる「大砲」はもう、いない。いちファンでさえこれほど動揺しているのだから、同僚である選手たちの、当事者である被害選手の動揺はいかばかりか。笑顔の写真があるから誰も気にしていない、清々してるように見える、などというのは一側面だけを見た軽率な判断であるように思える。

「中田翔」というファイターズに関わる多くの人にとって大きかった存在が失われたことによる穴はしばらく埋まらず傷は癒えないだろう。けれども選手たちはこのような状況下でも元気な振る舞いを、真剣なプレーを魅せてくれている。そんなファイターズを応援することで、生きる力を貰っていることには変わりはない。彼らに尊敬と感謝の気持ちを込めて、これからも変わらずファイターズを応援し続けたい。


「北海道日本ハムファイターズの中田翔」、今まで本当にありがとう。自分が今まで思ってたより、ずっと大切で、ずっと好きだったよ。「読売ジャイアンツの中田翔」、変わらず応援するって言ってやりたいけどごめん、すぐにはそう言えない。ただ、二度と同じ過ちを起こさないように、別の過ちも犯さないように、最終的にかっこいい中田翔であってくれることはいつでも願っています。

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