見出し画像

箱根で、昔ながらの薄暗い夜を

 夜は暗いものだ。1日でいいから電気を消した昔ながらの夜を過ごそう。そんな話の流れから、400年続く老舗 箱根甘酒茶屋 十三代目店主山本聡さん指揮のもと、『ー箱根甘酒茶屋劇場ー箱根八夜』という電気を使わないコンサートイベントを定期的に開催しています。2014年からスタートし、開催できない年もありましたが、回数にして、なんとすでに22回を数えます。(チラシは2019年度版です)

箱根八夜チラシ2019_アートボード 1

 コンサートはもちろん完全なアコースティック、マイクはおろか、一切の音響機材はありません。私のハーモニカと相方 中村アキラさんの生ギターのみ。その上、コンサートといっても曲を演奏するだけではなく、怪談紙芝居やご当地演劇、アートパフォーマンスなど、さまざまな趣向を凝らした内容で、ほのぼのとした甘酒茶屋さんが劇場と化します。

 このイベントを通じて、演奏を含め、我々はいかに電気に支えられているかを思い知ります。生の音は安定せず、体力も必要ですし、土間に吸収され音量は出ず、調整もできません。灯はランプとロウソクだけですので、圧倒的に明るさが足りず、そこはかとない不気味さがつきまといます。さらに客席の椅子は丸太、ドアは風の抜ける障子ですので、来場者もイベントの後半は、かなり身体に応えるはずです。

56写真全体ベスト

 ですが、いったんそれに慣れてしまうと、その薄暗い空間がしみじみと心地よく、深い落ち着きを感じることができます。その中での演出や演奏は、毎回とても重みのあるものになり、自分の実力以上の表現をさせていただいているように感じます。

 毎年8月と10月の二回開催を予定します。もし箱根に来られた際、この『箱根八夜』の開催日でありましたら、ぜひ気軽にご来場くださいませ。(イベントの紹介動画は海外向けに英語字幕を入れています)