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馬花 101 STORY.2

STORY.2 ①

深い深い森の中で
汚れた看板に筆を走らせる男がいる

一心不乱に文字や絵を書いている
左手に持つ白髪の筆が破茶滅茶に躍る

「ふう」
看板作業が終わり傍らの小テーブルに置いたブラックコーヒーで一息吐こうと手を伸ばす
ん?何か物体が当たった
左手に持つ白髪の筆より柔らかい毛並みのような感触だった

ナオトは振返った

一匹の熊がコーヒーを飲んでいる

「熊!」
「おい、ミルクないのか」
「に、逃げろ!」
逃走姿勢に入り、始めの右足が滑る
「落ち着け!ナオト!」
「えっ」
俺の名前読んだのか
「お、お前」
振り返るナオト

死んだフリしてる
熊が死んだフリしてる

「待て、お前、熊、それ俺のやつ。お前やられる方だろ」
「・・・・」
「おい!熊!」
「死んだフリしてるんだから、話しかけるな」

馬花
喋っちゃダメだろ

「一緒にどうだ?」
「一緒にって何をだ」
「一緒に死んだフリしようぜ」
「馬花言うな、なんで俺が熊と」
「頼むよ」
「えっ」
「頼む」

熊の哀願に少しばかり胸に痛みを感じた
彼のcharacterだろうか
恐怖心がかなり薄れていた
ゆっくりと腰を下ろし仰向けになる

熊と人間の死んだフリが並ぶ

「・・・・」
「なあ、熊。誰に対して死んだフリしてるんだ」
「・・・・神だよ」
「神?」
「所詮、俺たちは相入れない関係ってことだ」
「そりゃ熊と仲良くなんて、俺たちは非力だ。殺られちまうだろう」
「死んだフリは俺たちのものだ」
「えっ」
「俺たちもしたいんだよ、死んだフリ。」
「そんな」
「今まで俺たちの仲間がどれだけ・・・」
「そんなの仕方ないだろ!だってお前たちは野放しにしたら」
「すまない」
「謝るなよ」
「すまなかった」
「謝るなって!人間が悪いみたいだろ!」
「許してくれ」
「やめてくれ」
「見逃してくれよ、神様」

綺麗な空だった
木々の緑の隙間から見える青、少し靄がかかって青と緑の重なりがエメラルドグリーンの色彩を放っていた

「お前なんで、俺の名前知ってるんだ」
「お前だって俺の名前知ってるだろ」
「なんでだよハミル、えっ。・・・・・どうして、俺」

「ナオト、お前傷だらけだな」
「お前こそ汚れてるぞ、ハミル」

なあ、ハミル
服買ってきたから
とりあえず服着ろよ

似合うか?





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