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星組「ザ・ジェントル・ライアー」ガートルード・チルターン夫人語り

上流階級に生まれ育ち、美貌にも恵まれている
 ガートルード夫人は、“理想の夫”と連れ添い“完璧な夫婦”と賞賛される事に、何の疑問も持っていなかったと思います。英国中でも抜きんでて“高潔な紳士”と呼ばれるロバートを愛し、敬い、何ひとつ不自由のない生活を送りながら、おそらくその幸せはいつまでも揺るがぬものと思っていたでしょう。

ローラにより夫の過去を暴かれた事で
 ガートルード夫人が何より腹を立てたのは、最初から彼に欺かれていた事、自分は何も知らずに信じきっていた事ではないでしょうか。
 そのショックによる混乱から夫をののしり、「自分が愛したのはこんな男ではない」と、「初めて出会った時からずっと騙されていたのだから、別離しても構わない」と思ったのではないかと。

しかし自分の前から去られて初めて
 彼女はロバート無しではいられない自分に気づいたのです。完全ではない夫をこんなにまで愛している、離れることができない自分もまた不完全である事を知り、偶像化されていた“完璧な淑女”から、1人の男を求める1人の“オンナ”に生まれ変わった瞬間です。

ガートルード夫人が嘘をついた事がなかったのは
 高貴な身分に生まれた育ちもありますが、害悪だと思い自分に禁じていたからでは?
 その禁をやぶってまでロバートに気持ちを伝えたかった、世の中はキレイで清潔だけでは成り立たない事を受け入れ、人として新たな一歩を踏み出しました。

そして彼女にそう思わせたのもまた
 ロバートの包容力、2人で過ごす歳月の中で1つ1つ積み重ねてきた努力の成果に他ならない…小桜さんは天才なので、そんな心の揺れと変化を的確に表現していらっしゃいました。

ロバートと共にいれば全てを失うとわかっていて
それでも共に生きる道を選んだ、つまり「ダメなあなたでいい、それでも私は愛している」と宣言した時点では、ガートルードもまた夫と共に生きる未来に失意と嘲笑を覚悟していたと思います。
 ロバートが過去に犯した罪から解き放たれ更なる栄誉を手にする、それもまた結果論です。

幕切れの2人の愛は、幕開けとは全く違うものです
 関係がいったん終わり、様々な葛藤を経て生まれた新しい愛です。だからこそ、2人の絆は以前とは比べものにならないほど強く結ばれていると感じます。

 てな事は、ナウオンで語られてましたね…スカステ難民なものでお友達から借りたブルーレイでようやく見られて(苦笑)
 2人に出会えて本当に良かった!どこか遠い空の下で倖せに暮らしているロバートとガートルードに、思いを馳せています。

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