【横浜DeNA】宮城滝太の育成を検証

宮城は今年高卒5年目になりますが、8/13に1軍で初登板を果たしました。
その初登板では最速152kmを出して、2回 被安打1 奪三振3 与四球0 失点0 という結果を残しました。
また次の登板では最速154kmを出し、非常に球威のある投球をアピールすることができました。

宮城は2018年ドラフトで育成1位指名で入団しましたが、この時の最速が142kmで球威で押していくタイプではありませんでした。
しかしDeNAに入団して5年間で球速を10km以上上げてきたことは凄いですし、その育成について検証してみます。

宮城の成績推移

宮城の成績を見ると、毎年改善されてきたことが分かります。

1年目は被安打・与四球ともに多くかなり打ち込まれていました。
この頃はまだ球速も上がっていない状態で、1試合あたりのイニング数も2~3になっていて、先発・リリーフの両方を見据えた起用になっています。

2年目には先発起用が増え、1試合で5イニング以上を投げるようになっていました。1年目と比べて与四球率が改善されているので、打たせて取る投球で抑えるスタイルになっています。
この年は2軍で1番投球回数が多く、先発として育成していたのが分かります。
ただ被安打率が多く、まだこの時点でも球威で押し込むような投球にはなっていません。

3年目でも先発として起用されることが多かったですが、イニングが減ってロングリリーフ要員のような起用になっています。
防御率は前年より改善しましたが、相変わらず被安打が多く与四球も増えてしまい、なかなか長所が見えづらい投球です。
育成3年目でこの成績だと、正直伸びしろが見えないと判断されても仕方なかったかもしれませんが、4年目の契約を掴みました。

4年目から成績が大きく改善しました。
これまで多かった被安打数を減らし、逆に奪三振数を大幅に増やしました。
1イニング1つ以上の三振を稼げるようになり、多少与四球が多くても球威でねじ伏せる投球ができるようになっています。
この年から役割がリリーフになり、1イニングをしっかり抑えることが仕事になっています。
これまで三振をあまり稼げなかった投手が、いきなり三振の山を築けるようになったのですから、大きな進歩です。
この年に宮城は支配下登録を掴むことができました。

そして5年目は成績を更に改善させています。
奪三振率は高い水準をキープしつつ与四球率が大幅改善して、1つ四球を出す代わりに5つ三振を取れるような投手になりました。
2軍での成績も過去最高に良く、この状態が1軍首脳陣にも評価されて、1軍昇格・そして1軍初登板を掴むことができました。

この5年の経緯をまとめると、以下のようになります。
・当初は先発予定で、制球も良くなっていった
・しかし3年を経て、先発として伸び悩みが見えた
・4年目からリリーフに専念すると、奪三振率が急上昇
・5年目には与四球率も改善させて1軍昇格へ

色々と試行錯誤を経て、宮城自身の努力と周囲のコーチングやサポートもあり、ここまで辿り着くことができました。
育成指名の投手が球速を10km以上上げて1軍に昇格してきたのですから、育成の成功例と言えるでしょう。

今後の宮城について

宮城は現在23歳で、大卒1年目と同じ年代です。
なのでプロ野球人生はまだまだ長く、活躍の機会が沢山あります。
特に最速154kmを出せるリリーフだと右の速球派として重宝されますし、結果を残せればシーズン通して50~60試合を登板するような投手になることも可能でしょう。
奪三振が多く安定すれば、7回や8回を任されることもあり得ますし、年齢的には山﨑の後釜のクローザーを目指すこともできます。

逆に先発に戻る選択肢もありますが、そのためには1軍でも安定した制球力を常に発揮し、変化球も使える球種が複数ないと難しいです。
まだ若いので先発挑戦もアリだと思いますが、リリーフなら今季からでも結果を残せると思うので、宮城にとって良い方向へ進んで欲しいですね。

宮城のおかげで希望が見えた、高卒投手育成

宮城が1軍で活躍できるようになったことで、高卒投手の育成にも希望が見えてきました。
宮城の場合、育成1位指名から1軍戦力に育成できたというのも大きいですが、元々の球速が142kmだったのが154kmまで上げることができたというのも大きいです。

球速を上げれば活躍できるというわけでは無いですが、「制球や変化球は良いのに球速が無くて抑えられなかった投手」が日の目を見るようになる育成ができると、育成の成功率も上がってくるでしょう。

実際にDeNAでは昨年ドラフトで高校生の森下・今野を指名してますが、この2人はドラフト時だと最速145km以下で、宮城と似ています。
彼らが今後球速を上げて1軍で活躍できるようになると、宮城に続く高卒投手育成の成功例となります。


今季のDeNAは中盤まで優勝争いに絡んでいましたが、後半戦に入ってやや優勝が厳しい状態になっています。
しかしそんな中でも宮城のように高卒から育った選手が出てくれば、明るい材料になりますし、来年以降にも期待が持てるようになります。
是非、これから高卒投手が沢山1軍で活躍するようになって「DeNAは高卒育成が上手い球団」と言われるようになって欲しいですね。


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