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存在、異物

地球に降り立ってから、だいぶ日月が過ぎた。

宙を離れてからも、星は絶えず瞬いている。
夜になればその輝きは地球にも届いているし、昼は抜けるような青空や曇り空、雨の時だって星は太陽の光に眩んで見えずとも、位置を変えることなくそこにある。

そんな星の声を聞きながら、私は人の行く末を見守る様になった。
地球では「占星術」という学問に近いらしい。
それを使って、私は人間さんの性格やパーソナルな事柄を言い当てたり、相性を見たり、未来についてアドバイスをしたり。
そんな風にして人間さんと関わって、人間とはどういう生き物なのか、この社会で生きていくにはどうしたらいいか、学んでいった。

占いで人と関わっていくと、その人ごとの性格、考え方が見えてきて面白いとさえ感じる。
ふと、私はこのまま星の声を聞きながら人の行く末に助言を続けても良いのだろうか、と思い立った。


「……私は、宙からこの星へと届く声を、それを支配する神のお告げを聞きながら、人々を導いていてもよろしいのでしょうか。どうか、助言をくださいませ。」


……アルゴー船の星々が、私に語り掛ける。
どんな嵐であれ、怪物であれ、リスクは付き物である。
その中にいざ飛び込む勇気こそ、必要なことである。
このまま、お前の思うように進みなさい。


「……私に待ち受ける障害について、詳しくお声を頂戴してもよろしいでしょうか。」


……わし座の星々が、私に語り掛ける。
お前の慧眼を持ってすれば、その障害の事など既に知っていることだろう?


「…………ありがとうございました。皆様の声を胸に、私は生きて参ります。」


私は、このまま地球で生きていくことに疑問を持ったまま、星々の視線に晒されながら、生きていくのだ。
お前は宙に居場所を無くした、はぐれ者であると。ただそれだけを告げる声が、私の胸に呼応して、耳に響いて、私を否定する。

私を否定する神は、私の生みの親であるのに。
神を否定したら、私はいったい何者であるのだろう。


この地球に降り立った私は、本当に居場所を見つけられているのだろうか。
行く宛てもなく見つけたこの星なら、居場所を見つけられると思っていたのに、宙は絶えず私を監視している。

お前は、何をもってして「夢宙ハマル」であると定義付ける?と。

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