コメキリ達成_彼女と私の邂逅編

木星と夢宙ハマルの数奇な出会い

久しぶりの外出ですね、今日のうちにいろいろと買い込んでおかねば……
……おや、あそこにいるのは仲村渠様でしょうか。
でも、いつもの仲村渠様の雰囲気と少し違うような……と言いますか、だいぶイメチェンしてますかね?


「こんにちは、仲村渠様。ここで会うとは思わなかったですが……」

「おや、その声は君はアストロじゃないか?」

「その話しぶり、もしや木星様、……?」

「おお、流石というべきか。元の依代の子と見分けるとはな。名を奪われた星の子」

「ち、違います!私は決して名前を奪われた訳ではありません……!」

「何も間違ってないだろう?火星に見放され、宙から居場所を失い、安住の地をここに求めた」

「違う、違う!ぼくはアレス様に見放された訳じゃない、神のお告げを人間さんに……」

「ほら。"ぼく"、は君の魂であり、変われないもの。なぁ、アストロ」

「っ……!!」

「まぁ、私は君が神に見放されようとも私が身体を借りているこの"少女"が、君と仲睦まじくしているのを知っているからな。少しばかり話そうじゃないか。」


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「貴方様が地球にいらしてるとは思いませんでした、いつから?」

「それはこの子を依代とし始めた所からだろうか。ともすれば、この子がこの時代の地球に来るよりも前の出来事であるから、いつからというのは明確に答えにくいが……」

「そう、ですか」

「アストロはいつからここに来てるんだい?しばらく宙を旅していた時に巡り合って以来だから、ここまで来ているのだなと感心してしまった」

「ちょうど1年くらいでしょうか……」

「おや、君にしては珍しく長居してるじゃないか。余程この星が気に入ったのかな」

「いえ、もう私は旅を辞めました。ここにしか、居場所がないのです」

「ほう?その心は」

「星を追放されてしまった以上、宙に居場所が無いのはもう分かっていましたから。他の星は住まう人のコミュニティといいますか……同族同士の繋がりが強く結ばれていて、私の入っていく余地がなくて。その点、地球はいろんな人間さんがいて、それなりに外からの存在を認めてくれる存在も多かったので……」

「それは君が他の星で歩み寄る努力をしてなかったからではないのか?私が君と初めて会った時はひどく怯えた目をしていたよ。よそよそしくて、いつも外から他者を見つめていて。こちらから呼びかけても加わろうとしなくて。」

「それは、その……そうかもしれない、ですね」

「でも、私は安心した。今の君は昔よりも目に怯えがないし、血色も良さそうな顔をしているし。人間と関わるのは怖くないのかい?」

「最初は怖かったですよ、もちろん。受け入れてくれる人がいるか、本当に不安で。でも、私を肯定してくれる人間さんが多くて、ここならやっていけそうかなって……」

「そうか。君も私も、うまくいくと良いな。さて、私はこの子の体を使っていられる時間が限られているから。そろそろ失礼するよ。またどこかで会えると良いな」

「そうですね、木星様もお元気で」












いつまで、私はこの虚構の世界で生きている様を見られていくんだろう。
この虚構の終わりは、いつなのだろう。

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