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「学校内⺠主主義」に関する提言の感想

今回は,「学校内民主主義」に関する提言についてです。
これは,日本若者協議会という団体が,学校のルールにおいて,生徒がもっと関わるための提言をしたものです。

⽇本若者協議会が2020年11⽉に⾏ったアンケート調査(主にWebでの回収)によると、

回答学⽣779名のうち、「児童⽣徒が声を上げて学校が変わると思いますか︖」という問いに対し、約70%の児童⽣徒が「(どちらかというと)そう思わない」と回答している。

これを踏まえて以下のことを問題点としてあげています。

選挙における若年層の低投票率に象徴される「若者の政治離れ」はいまだ解消されていない。その⼤きな要因の⼀つに、児童・⽣徒にとって⾝近なコミュニティである「学校」の場が⾃⾝(児童・⽣徒)の意⾒を尊重する⺠主主義の実践の場になっておらず、社会参画に対する有効性感覚を培えていないということが挙げられる。

としています。7割が声を上げても変わらないと思っている。これが,若者の政治離れにもつながっているという主張は,私も同感です。コミュニティを変えられるという経験無しに,社会を変えられると思うのは難しいですよね。経験が無いと言うよりかは,さらに同提言ではこんなことが書かれています。

現状は初等中等教育課程において、社会参加意欲の減退、⼤⼈への信頼喪失など「マイナスの学習経験」をしていることが明らかになった。

学校での何か不満があったとき(必ずあると思いますが),ほとんどが否定され何も変わらないという経験をしてきている。このマイナスの学習経験は,世の中を良くするために声をあげていきたいという想いを妨げていると思います。政権与党にとっては声を上げないことは良いことなのかも知れませんが,より良い世の中にしていくには,みんなが自分で考え,行動に移せるようになる社会になったらいいなと常日頃考えております。

このことは,私も教員経験から思っていて,そもそも児童生徒からの不平不満に対して変えていくという仕組みが無い。理不尽なクレーマーなど声の大きい人・無下にしては後先困る人に対処するだけで,泣き寝入りしたとしても何もしてこない人(児童生徒)に対して変えることは,よほど校長先生が熱心で無い限りやれないと思います。

具体的な提言の中身では。学校の第三者評価機関を設置するということに興味を持ちました。

先進諸外国では、学校教育において、国連の「⼦どもの権利条約」の⼀般原則(⽣命、⽣存及び発達に対する権利、⼦どもの最善の利益、⼦どもの意⾒の尊重、差別の禁⽌)を実現するために、国レベルの施策として学校の第三者評価機関を設置し、すべての学校を共通の尺度で定期的に評価し、その結果を公表する動きが⾒られる。(池本 2019)
⼀⽅、⽇本では、学校評価は⾃⼰評価にとどまっており、学校の第三者評価機関の設置は検討されていない。そのため、⼦どもの権利の促進・保護を図るため、⽇本でも、ニュージーランド、イギリス、スウェーデンのような学校の第三者評価機関を設置すべきである。その際、⼦ども、教員、親からの情報をICTも活⽤して直接集めることが期待される。

この視点は良いと思いました。どうしても学校の中であると,内申点などの自分の将来に直結することが教師に牛耳られているためなかなか教師にとって耳の痛い話をするのは難しい。これが第三者評価期間があれば,その上下関係をもう一つ上の立場で見てくれれている人がいる。それは心強いと思います。

学力テストなど数値がわかる量的評価は行っていて,それによって悪いことですが学校ごとの比較をしているのは良くニュースでもありますよね。一方で,学校自治がしっかりしているかなど,数値の量的評価ではなく,専門家がその文化に入り込んで分析する質的評価を要する仕組みが全くありません。これが変わってくれればかなり学校教育の質や外部による学校を見る目も高まるのではないかと思っています。

濱塾でも,塾内民主主義ができないか考えております。ルールの設定や教室文化などは,トップダウンではなく参加している人みんなで作っていくような仕組みができればいいなと画策しているので,お楽しみに。

2021年3月から長泉町にある個別指導の学習塾「濱塾」を経営している高濱と申します。教育に関する情報を発信していきます。