双葉杏「あんずが……私がもっと働いてればこんな事には……」

諸星きらり「あんずちゃん、そんなに自分を責めないでにぃ……」

――戦時下。諸星きらりを戦士にさせないという条件で双葉杏は本軍に加入。
新田美波の采配を見事補佐し完勝を続けた果てに、その軍略に適応した敵方の前に本軍は壊走、新田美波も討ち死に、双葉杏と数名の兵士だけが命からがら生還した。

完勝が続くうちは良かった。
勿論命について考えれば仄暗い感情が胸中に広がるが、それは「敵」という道理によって圧し殺せた。
しかし、今回は味方である。まだ短期の関係とは言え、特に新田美波は立派な人間だった。

『何故私は生きている?』
そして、「『諸星きらりを戦士にさせない』という自らの誓いが実質的に新田美波を死においやり、自らの判断で命の選別をしてしまったのではないか?」という考え方の一つが心を蝕んでいく。

――双葉杏は、これからも働いていく。
人類の行き過ぎたガチへの嫌悪を心深くに刻みながら。


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