???「本気の桃華さんなら、絶対怖いはずなんです!」

橘ありす「文香さん、折り入ってお話があります」
鷺沢文香「?ありすちゃん、どうされました?」
橘ありす「人間の感情について教えて欲しいんです」
鷺沢文香「……私のような本の虫が、人の感情を教えるなんておこがましいとは思いますが、出来る範囲ででしたら」

橘ありす「ありがとうございます。お伺いしたいのは、怒りの感情についてです」
鷺沢文香「……怒り…ですか。その感情については作品の中で触れるばかりで、専らおっとりしていると言われる私がどのように語れば良いのか……。」
橘ありす「ああ……。ええとですね、ある人が、『怒っても全然怖くない』ってからかわれてですね……。」
鷺沢文香「……まあ。他人事とは思えません。」
橘ありす「そうなんです!!」
鷺沢文香「………元気がよいですね。」
橘ありす「……!?あああ、そういう意味ではなく……!な、なんていうか、その人も文香さんも優しいから怖くないってだけで……本気の本気で怒れば、それは絶対怖いだろうって、推測なんです。」
鷺沢文香「……まあ……」
橘ありす「はい!」
鷺沢文香「うーん……。本気の本気で…………うーん……。」

鷺沢文香「人にはそれぞれ事情やその背景がありますし……悩ましいですね……」
橘ありす「うんうん!!……あっ、ええと、自分事での想像が難しいなら、その、ある人の事を思い浮かべてくれれば……あ、でも……」
鷺沢文香「…桃華ちゃん、ですよね?」
橘ありす「…ご明察です」

橘ありす「本気の桃華さんなら、絶対怖いはずなんです!」
鷺沢文香「んー……」

橘ありす「……??文香さんにとっても難題なんですか?」
鷺沢文香「というかですね……。どのように諸々を表現すれば良いのか……。」

鷺沢文香「ありすちゃんにとって、桃華ちゃんはどんな存在ですか?」
橘ありす「ライバルです!」
鷺沢文香「それ以外で表現するなら?」
橘ありす「友達です!……あ、桃華さんがどう思ってるか、わからないですけど……」
鷺沢文香「そうですか」

鷺沢文香「桃華ちゃんが本気で怒れば、核が5発くらい飛ぶかと思います」
橘ありす「」
鷺沢文香「どのタイミングで飛ぶかまでは測りかねますが……。いずれかのタイミングで、計5発。」
橘ありす「……計5発……」
鷺沢文香「ちなみに、仮にありすちゃんの身に人為的な意思による不幸が訪れた場合、3発飛ぶと思われます」
橘ありす「ええーーーーー!?」
鷺沢文香「あとの2発はこれからどのように関係を構築するかに依るでしょうね」
橘ありす「はわわわ……」
鷺沢文香「責任重大ですね」
橘ありす「どちらかというと、文香さんから重いものを感じちゃいます……」
鷺沢文香「」

鷺沢文香「(ああ……なるほど。ほんの少し、怒りの感情というものを体験出来たのかもしれません。)」

鷺沢文香「(慕って貰えている事は想像以上に嬉しく、でもだからこそそれが他の子に移るかも知れないという不安が怒りに繋がって……)」

鷺沢文香「(大人げ、無かったなあ……)」

橘ありす「……文香さん?」
鷺沢文香「私も桃華ちゃんに負けないよう、良心を揺さぶったり罪に気付いて貰えるような言葉を紡げるようにならないといけないですね」
橘ありす「やっぱり何か重い!!!!」

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