フィルム写真ってなんでエモいの
はじめまして。今井と申します。
物書きの練習に、これからゆるゆると更新していければと思います。どうぞよろしくお願いします。
私は写真が趣味の大学生です。高校進学のときにデジタルカメラを手に入れて、地元のローカル鉄道を撮っていました。大学2年の夏にフィルムカメラを買ってからは、フィルム写真ばっかりやっています。
このご時世にフィルム写真をやっている人は、私のほかにもたくさんいると思います。私のようなデジタル時代の人にも当然いると思います。
オレも、アタシもそうだな……と思ったあなたに、どうしてフィルム写真を始めようと思ったか、問うてみたいです。
あんまり、具体的な言葉にできないと思います。流行りの語彙を借りるならば、「エモい」からではないでしょうか。私もそうです。
(できるなら「エモい」なんて言葉は使いたくないけど、こうした本当に言葉の思い浮かばないときにこそ、つかうべき言葉なのかなと思います。)
じゃあ、フィルム写真において「エモい」を構成する要素って、いったいなんなんだろう?なにが良くて、デジタルじゃなくフィルムを選ぶんだろう?
その辺について私なりに考えてることを、早速に述べていこうと思います。
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1.一発勝負の撮影がたのしい!
これは結構、いわれてることじゃないかと思います。
フィルムで撮影する際の制約はいくつかあります。撮影枚数が限られること。撮影後すぐ結果を確認できないこと。あとから編集を効かせにくいこと。など。
まず撮影枚数について。その日持っているフィルムの本数や、金銭的制約があるため、あんまり当てずっぽうに撮っていてもいけません。撮影のいちばんの目的、テーマのようなものを、私はいつも頭の中に持っておきます。
近所へ散歩に出て、興味あるものを、気の赴くままに撮る。憧れのまちに旅行して、素敵な街並みを収める。
どういう場合でも、「これよりもっとイイ構図があるんじゃないか?」「もう少し歩いてみないか?」といった、一枚一枚の質を上げるための葛藤が、私の中に訪れてしまいます。結果もすぐに分からない、思い通りの編集もできない、となるとなおさらです。
でもそれはすなわち、被写体とより長く向き合うことができるということ。光の差し方、影の出方、時間帯による違いに気づいたり、たくさんの方向から観察したり、そしてその中から選りすぐった一枚を写真として収めてみたり。
そうしたことの積み重ねで、じぶんにとって良い写真、きれいな写真が、フィルムならではに完成するんじゃないかと思ってます。
でも、予定調和だけでは終わらないのが、撮影の楽しいところですよね。
テキトーに撮った写真とか、ええい!って勢いで撮った写真が、実はエエンちゃうか?となる楽しさが、時間をおいて結果をたしかめるフィルム写真ではなおさら、鮮やかに感じられるのではないでしょうか。
以下に写真を例示します。
山形県庄内の羽黒山五重塔。
このとおり、一見正面からみるとスギに遮られて、全容をハッキリ見せることができないんですよね。
正面で気をつけしながら、しばらくヴーンと考えているうち、別に遮られててもいいんじゃね?というふうに方針転換をします。
スギ林にカモフラージュするように、しかし繊細なつくりで存在感を示して、屹立する五重塔。
全体がハッキリ写るより、こうしてちょっと隠れているほうが、余白があってイイ感じしませんか?
人間の身体でたとえるなら、水着きて腋がハッキリ見えてるより、普通の服きてるときの、ふとした瞬間に腋が見えるほうがエロいとか、そういう論理になりますか。
その上で、日の丸構図から少し下に目線をずらして地面を見せることで、その「屹立感」を増すことができている気がします。
長崎ランタンフェスティバルの龍おどり。
フィルムは一発撮りだから、動くものを、しかも夜間に流す、なんてことは相当勇気がいります。
でもこのときはきっと、旅先で非日常に触れていることで、アドレナリンドバドバで、おう流してやろうじゃねえか!という勢いで撮ったと思います。
実際けっこう枚数稼いでしまいました。見せれない、あるいは微妙な写真も多いです。その上で、なんとか見れる2枚をこうして並べてみると、龍おどりの威勢、迫力が伝わってきます。
お店に現像出して、時間をかけて見る写真ですから、こうして一か八かの写真が成功してた!と分かったならば、よろこびも一入です。
写真ってもちろん出来上がりも大事ですけど、「撮影行為をたのしむ」という意味では、一発勝負のフィルム写真は、大きな魅力を持っていると思います。あー楽しい。
次。
2.抽象的な輪郭、陰影、色彩がたのしい!
フィルム写真はデジタルほど、明らかな輪郭を出してくれません。そのうえ陰影や色彩は正直に出してきます。
でもそれって、写真を見る視点を広くしてくれる大切な要素だと思うのです。
デジタル写真は後からの修正が効きやすいです。たとえ顔が翳ってしまっても、パァッとレバーをいじれば、どうにか見えるようになるかもしれません。でもそれって結局のところ、あくまで自然なことを、部分的に、人工で修正してあげているにすぎません。それって不自然です。
フィルムはそうした修正があまり効きません。すなわち自然になるべく従うということ。
そのとき肉眼で見た美しさ(光と影なり、色彩なり、構図なり)を、そのまま写真にする。それってキレイじゃないわけないですよね?
自然の現象にしたがってファインダーに集中できる(というか、せざるを得ない)ことで、写真全体を俯瞰した魅せ方、遠目で見て「イイネ」って思える写真をつくることができるのではないでしょうか。
デジタルではそれは不可能!といっているのではありません。フィルムはどうしょうもなく自然に従わざるを得ないから、よりそうした意識が付きやすいのではないか、というだけの話です。
以下に例示します。
冬の新潟某所にて。雪景色の町へちょうど消防車がやってきたところ。
これは、色の対比(白と赤)が分かりやすいね、というだけの話です。
白は白!、赤は赤!って抽象的に主張してくるあたりが良いですよね。
地鉄電車という、富山のローカル私鉄の某駅で。
これはいろんな要素が詰め込まれていて、誰かに写真の良さを教えたい!ってときに一番に出しちゃいそうな写真です。
まず前提として、ホーム上屋のある暗いゾーンと、明るいゾーンがあります。私は明るいゾーンに露出を合わせて、あくまで主役の列車が白飛びしないように備えました。
そうすると、暗いゾーンは黒く潰されてしまうことになります。
でも大丈夫。私は上屋の梁やベンチを詳細に見せたいわけじゃない。柱やお客の影が認識できれば充分。主役はあくまで列車なんだから。
そして列車がやってきました。
これは撮影時点では意識していなかったのですが、シャッターを切った地点がたまたま、ホーム上屋や対向ホーム、ベンチ等の集中線をもって迎えられる位置に、ジャストミートしています。
昔ながらの駅やお客の存在を影で印象づけつつ、集中線と黄青の色彩によって、主役の列車に、観ている人の目線を移動させる。
それほど計算はしてなかったけど、結果として計算づくめの気持ちいい〜写真になりました。
実は単純な、実は自然な、光と影、色彩の利用。そうして単純に出来上がる気持ちいい構図。
これを撮影時点で決める(決めざるを得ない)楽しさがまた、フィルム写真の大きな魅力。
次、さいご!
3.機材選びがたのしい!
機材だいすき!なみなさん、お待たせしました。といいましても、私はそこまで機械について堪能ではありません。
まずフィルムの箱ってカワイイですよね。私も写真屋さんに行くたんびに、緑や青や赤、いろんな色のフィルムをじっくり眺めてしまいます。
フィルムによって少しずつ色味やコントラストが異なるし、明るい昼間に合うものもあれば、夜が得意なものもある。
つぎの撮影はどういうシチュエーションかな。なにを撮るんだっけな。昼だっけな夜だっけな。そういうのを考えながら写真屋さんをウロウロするのが、毎回恒例になっています。
フィルム選びの時点から、撮影は始まっているのです。
以下、例示。
青空の映える日には、コントラスト・色彩強めのフィルムを。(FUJI/PREMIUM400)
秋の景色には、あったかい色のフィルムを。(KODAK/GOLD200だったはず)
夜には感度高めなものを。(CineStill800)
ちなみにこちらは、映画用のものを転用した商品らしく、撮ってみるとまるで、映画のワンシーンみたいになります。かっくいい〜!
といった具合に、昔より数は減ってはいるものの、多彩なフィルムに悩まされてしまいます。でもそれが楽しいのよ。
ちなみにカメラ・レンズも中古で安いものが色々ありまして、気軽にいろいろ試すことができます。フィルムとの組み合わせで撮れ方は無限大ということになります。
私はCanon EOS7ってカメラをよく使います。末期のフィルムカメラなので、見た目はデジタル一眼レフだし、レンズも現在のフルサイズカメラと同じタイプ(EFレンズ)を使えます。
もともとEOS kiss x7i を持っていたので、それとほぼ同じ操作感覚で使える、貴重な存在です。
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いかがでしたか?
(この言葉、締めくくりにとても便利ですね。数々のまとめサイトで使われるのも頷けます。)
私の主観と偏見により、ここまでフィルム写真の魅力をつらつらと述べてきました。
ほかに自家現像とか、中判・大判の世界とか、写真の魅力ってとっても広く深いのですけど、私はまだまだ勉強不足ですから、この程度にさせていただきます。
共感してくれたらもちろん嬉しいし、否オレはこう思う!アタシはこう!というのがありましたら、ぜひ語りましょう。(?)
余談ですが、大学の写真部で、みんな各々に写ルンですを一個ずつ買って、撮ってきて、現像して見せ合うという、どっかのカップルがやってそうなことをみんなでやりました。
みんな同じ機械で撮ることで、あなたはそういう写真を撮りがちね、こういうのが好きなのね、という人それぞれのクセがよりクッキリ見えて面白かったです。
あと写ルンですは、感度やシャッタースピードも固定、レンズも固定のガンジガラメの世界です。今回私の述べてきたフィルム写真の特性、とくに2番目の自然に従うといったあたりが、よりハッキリと写真の構成要素として強調されてくると思います。
カメラのことを思って構図や設定を探求するのが、撮影のたのしいところ。
この人間くささ、地に足ついた感じが、私と相性良いんだと思います。フィルムはいいよな。
ではこの辺で。
これからよろしくお願いします。
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