英検一級_試験会場

【英検一級】英検一級受験記(その④)

僕は自動車部品会社に勤めていて、そこの企画開発部門にいる。開発といっても華々しものではなく、毎日の主な業務は資料作りだ。ネットや雑誌から「これが10年後の車だ!」とか、「未来の生産技術はこうなる!」的な記事を探して、自分たち部品メーカーがカーメーカーに提案できる製品を検討する。正直、こういう記事になっているものなんて、もうすでに確立された技術や既知の情報ばかりで、新鮮味はほぼ無い。かといって、突飛なアイデアを出すと「これはうちの商圏では無い。」とか「現実味がない。」とかいう話になってしまう。これ以上書くと愚痴になってしまうので書かないが、なかなか新規の製品というのを世に出すのは難しいのだ。
そんなこんなで仕事にやる気や目的が見いだせず、資格勉強を頑張ってしまう自分がいた。

面接試験の教室の扉を開くと、日本人(だと思われる)試験官が二人いた。(日本語で話す事はないのでパッと見ではわからず、もちろんアジア系のネイティブの可能性もあるが、見た目は日本人だった。)40代くらいの男性と女性だ。挨拶をしたが二人とも訛りなどは無い感じで、教科書CDとかで聞くようなきれいな発音だった。

着席すると、軽い自己紹介の後に質疑があった。「仕事は何をやっているのか?」ということを聞かれたので、自動車部品の会社で企画開発や設計をやっていると言ったら、男性の試験官が興味津々にいろいろと質問してきた。「海外のカーメーカーにも製品を提案するの?」「クライスラーに提案したことある?」「いままでどんな車に提案してきたの?」…ははぁ、この人はたぶん車好き(特に外車)だな、とピンときた。なんとなく、質疑では印象はよく見えたんじゃないか?

最初のアイスブレイクが終わり、いよいよ本題のプレゼンだ。
勉強してきたとはいえ、自分の経験外の事柄について、二分間プレゼンするのは至難の業だ。「関税撤廃は、日本にとってメリットか否か?」とか「日本で多くの移民を受け入れるのは可能か否か?」なんて、日本語ですら答えられない。こんなお題が当たらないことを祈った。

試験官から紙を渡された。この紙に書かれているお題の一つを選びプレゼンするのだが…ここで英検二度目の棚ぼたが起きる。
「自動車技術の進歩は、人類にとって有益か否か?」
まさか!
いつも業務で不満たらたらにやっていたことが、ここにきて効力を発揮する…!!

男性の試験官が「どのトピックを選びますか?」といったので、「自動車技術の…です。」と答えた。
男性の試験官は「Of course!」 と食い気味に言って、ニヤリとした。(続く)

観光地の下見などは、自費で行くことが多いです。まぁ、趣味も兼ねているのですが(笑)。サポート頂ければ、これほどありがたいことはありません!