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ブーム後一度も食べてないよ!〜友達の命日と、亡父の誕生日と命日の間にガチで死にかけた話

 「タピオカ?」
 この話をすると、そう返ってくるケースが何度かあって、はじめてそういうものが流行っている(?)ということを知った。
 タピオカのことではない。タピオカを噛まずに飲んで腸閉塞、の噂のことだ。
 いやいや、今期のブームではまだ口をつけてすらいないぞタピオカ。田舎出身で並ぶのが大嫌いなおはるさん、まだその機会に恵まれていない。だから、残念ながら星型のタピオカで腸が満たされたなんて可能性は1ミリもないのです。

 異変は、ある朝突然おきた。
 正確には突然というか、前日夜から「なんだか苦しいな」という感触はあった。その前に、風邪で3日ほど体を動かしていなかったことや、咳止めに腸の動きを鈍くする作用があったことなど、思い返せば細かな要素はいろいろ存在していて、そういうものが運悪く重なってしまったのだと思う。

 気づけば、激しい腹痛と嘔吐、そして流れるどころかボタボタ落ちるほどの汗(家人によれば、私が寝ていた形に汗ジミがくっきりとできていたという)。一瞬にして、いわゆるショック状態に陥っていた。
 家族が出勤するほんの5分前、呼び止めてヘルプを出していなければほんとうに危なかったようだ。

 実は、救急車には2桁以上の乗車経験がある私である。
 税金泥棒、なんて揶揄されたこともあるけれど、どれも命に関わる重篤なものであり、決してタクシー代わりになどと考えて利用していたわけではない。
 乗るたびに、「もうこれで最後でありますように」と願うのだが、数年ぶり十数回目の救急車ライドとなってしまった。まあ、最後が最期にならなかっただけよかった。


 死線をくぐるのは初めてでないとはいえ、痛みが自分史上最大だった。規格外。これまで、胃・十二指腸潰瘍で1ヶ月絶食する羽目になった時も、脈が200を超えたまま3日間ICUに入ってひたすら嘔吐していた時も、目が覚めたら吐血でベッドが血だらけだった時も、ここまで苦しくはなかった。と思う。

 こんなに汗が止まらないのも、気温30度を超える日に寒くて震えるのも、痛みで嘔吐が止まらないのも処置室で叫び続けるのも、はじめて体験することばかりだった。
 痛み止めが1時間も効かなくて、先生が「もうそろそろ効いてくると思うので」と言うのに対して「もう効いてもいい頃では……」と返しながら悶絶していたが、あとから付き添いの家族に聞くと、あれはまだ10分も経っていなかった頃だという。なんだそれ精神と時の部屋?


 先生から「腸閉塞(イレウス)」だと告げられたとき、なんとなく「あぁやっぱりそうか……」という反応だったのは、似たような症状について読んだことがあったからだ。
 それはネットでたまたま見かけたものだったが、そういえば子どもの頃繰り返し読んでいた「びょうきのひみつ」という漫画本に、大きな病気一覧のようなページがあり、そこに腸捻転と並んで腸閉塞が紹介されていたので、名前だけはその時に覚えていた。
 「これぞ、苦しみは最大級!」と朗らかに書かれたページを思い出して、あとから苦笑いしている。
 あれより痛いものがこの世にあると思いたくない……。


 回復して、気がつけば、亡くなった父の誕生日である8/24。8/18は、(このnoteでときどき書いている)友人の命日だ。ついでに、父の命日は9/18である。

 あああ、死にかけたんだなあ。なんだか急に実感する。実感値としては痛みに耐えるのに必死で、そんな危機感はなかったのだけど。
 あれはやっぱり「ヤバイ」状態なのだ。おはるさん、お前、もうちょっと真剣にヤバがったほうがいい。
 「敗血症と腸閉塞だけは、若い人でも本当に死ぬからね」との医師の言葉、しかと胸に刻みつけている。


 久しぶりのnoteだけど、熱量を持って伝えたいことは特になくて、ただあれだ、うん、みんな、タピオカには気をつけろよ!イヤだから、わたしゃ食べてないってばよ!

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