私と切り絵
そもそも私は切り絵で制作をスタートさせた。
そしてギャラリーで扱ってもらうようになることで、見てくれる人が変わったな、と実感した。
掛けてくださる言葉が「凄いね」だけではなくなったのですね。
結構言われたのが「切り絵はやめとけ」でした。
細かさを競う超絶技巧がクローズアップされやすいことと、当時の主なモチーフである花と骨の組み合わせも要因だったのでしょう。
私自身も、一枚紙の切り絵は画面越しや印刷されたときに線画と変わらなくなってしまうことへの不満から
切り絵である意味って??
これが線画であったら人は見てくれるのか?
切り絵でないと見て貰えない絵ってなんだ?、等とむんむん考えていた。
結論は、私にとってモチーフを描く上で何が重要なのか。
視覚的なことでは「線」が重要なので、切り絵という線だけで構成しなければならない縛りのある手法が合っていた。
情報共有(モチーフやテーマ)することにおい、私にはこの情報量が限界でした。
もっと言えば、輪郭線位しか共有することは出来ないとすら思ってます。
なので、情報量を削ぎ落としてしまう必要があったのです。
そうやって、情報量を削ぎ落としていくなか、情報量が減ることでの自由度が増す、よりも確固たる縛りがある方が私には向いていて。
切り絵は線画と違い、極薄の立体物でもあるので「繋がった線でないと形を保てない」という縛りにより、線や形への拘りが強調しやすいな、と。
そう考えたとき、さらにモチーフへの拘りが強くなれたので私にとって良い悶々期間であったと思います。