私がカスタマーサクセスを天職だと思う理由

CS部署の立ち上げ経験があるとお話すると「もともとIT関連のサポートなどをやってたのですか?」と質問されますが、そんなことは全くございません。もともと私は社会人のファーストキャリアが人材広告会社の制作進行で、採用広告の企画と進行管理が主な仕事でした。ただし、この職種の本質は別のところにあったと今、振り返ってみて思っています。要は、受注後のお客様と関わる仕事なんです。(営業も受注後フォローしますが)採用人数の目標をクリアするために広報(広告)や選考を一緒に工夫し伴走する仕事でした。こと新卒採用という領域においては、この付き合いは約1年〜1年半続きます。カスタマーサクセスに似ているなぁと思います。

私が最初に就職した会社は、新規も既存もカスタマーであることは変わりがない。それでも、新規カスタマーを重視する会社でした。
当時、勤めていたときに感じていたのは「新規顧客獲得」の影に隠れてしまった「既存顧客からの再受注」の重要性でした。とてもシンプルに説明すると、私の勤務していた会社の営業目標は前年の顧客売上(実績)に新規の金額がのる形で設計されていました。つまり、既存顧客の契約が継続されるというのが基本にあるんですね。しかも、在籍当時は業界1位を目指す時代で、とにかく面を取ることが大事でした。そのため、新規獲得数を重視しインセンティブも与えていたので、「新規受注こそ正義」という文化が醸成されていました。(個人的に、この新規注力という決定は会社として正しい判断だと思います)
こうなってくると、営業担当は新規顧客との商談に軸足を置きながら既存の顧客のフォローをすることになります。これが、かなり大変であることは容易に想像つくと思います。そして、顧客側から見てみれば、昨年は5くらい相談できたものが3くらいになっちゃったみたいな現象が発生します。ここで一役買っていたのが制作進行という職種だったように思います。

『コストセンターからプロフィットセンターへ』変化に伴う課題

当時、リーマンショックの影響で、継続契約が取れない状況や新規受注の伸び悩みが起こっていたのもあって、コスト(管理)センターだった制作進行という職種もプロフィットセンターへの生まれ変わりを期待された節がありました(笑)。おかげさまで私は、ずいぶん幅広い工程を経験させてもらい、今でも感謝しています。必要に応じた営業同行から、実際の広告企画・進行、その後の振り返りと次年度提案…いま、カスタマーサクセスが自分にあっていると感じるのは、ここでの経験を再現しているからです。顧客の継続的な成長を支援できる喜びは、相変わらず私の原動力なのです。

ただ当時問題だったのは、プロフィットセンターへの転身に伴う環境整備と評価制度の設計が出来ていなかったこと。制作進行という職種は、コストカット率と納期遵守率で相変わらず評価されており、品質面を高めて契約継続に貢献しても評価を受けられないという現実がありました。また途中でオプションなどを提案して追加の受注が発生しても営業の数字となるため、悲しさ増し増しです。
これではモチベーションは落ちていくのは当然で、私も3年が限界で、次の仕事へ活躍の場を移すことになりました。

カスタマーサクセスという3つの衝撃


この評価や目標の曖昧性に対して斬新な回答をくれたのが、まさに「カスタマーサクセス」という職種でした。私はこの職種に出会った時、雷に打たれたような衝撃を受けました(本当にw)。
まず、そもそも営業と役割を切り分けてあり、プロフィットセンターとして契約継続率という目標を持たされた1職種であること。つまり、評価基準が数字できちんと示されているインパクトは大きかったのです。
そして、2つ目にこの職種が確立しているという社会的&市場的背景。つまり、SaaSなどサブスクリプションの台頭も手伝って、既存顧客を育て、アフターサービスにお金を払ってもらうという考え方が重要視されてきたことへの衝撃です。言い換えれば、新規の獲得より既存からお金をいただくことの方が効率が良いという合理的な考え方が評価を受けていました。(これまでも複合機などの商材ではあった概念ですが、見直されたというのが良いなと思いました)
最後に顧客起点でありながら、顧客を選ぶ点。言い方は悪いが、売れたらそれで良いという考え方は少なからずあったはずです。その一方で、相当な金額を支払ったのに成果が出ない顧客に対して申し訳無さを感じることもあったはずです。私はまさに毎年そんな感じでした(笑)。
顧客を選び、運命共同体で成果を出す。使われる・使うの関係ではなく、顧客とチームになる。大変だけれど本質的です。顧客の目標にコミットすることを約束する職種なので、コミットする顧客を選ぶというのは理にかなっていて、成功させられない顧客は顧客ではないと言い切ることが斬新でした。

天職だから、価値ある職種にする


自社のカスタマーサクセスがきちんとしたプロフィットセンターとして確立されること、これが私の足元の目標です。LTVを最大化するだけでなく、サポートという商材を武器にアップセルを実現する。
お客様がお金を払ってくれるのは、そこに価値があるからです。CSMの価値の最大化に数年は邁進したいと思っています。

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