Halu Amatsuji

学校関係者⇒修士課程死生学|本とマルシェと図書館が好き|編集ライター養成講座45期生|…

Halu Amatsuji

学校関係者⇒修士課程死生学|本とマルシェと図書館が好き|編集ライター養成講座45期生|@shayo では学問のことを

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大学(院)生×ライターという生き方

表題のような生き方があるのだと気づいたのは最近になってのことでした。そのことを話していこうかなと思います。 はじめにはじめに少し、私がなぜライターを目指しているのか、そのお話からはじめます。 「好きなものに囲まれて生きていきたい」 私の生きる上でのモットーです。人も物も仕事も、私の身の回りのものすべて、好きなものに囲まれて生きていたいとずっと思っています。 しかし、「好きなものはたくさんある。でもそれをどう仕事にしていいかわからない」という疑問がずっとありました。どの

    • 大切な人に会えなくなる前に

      「いつ会えなくなるかわからんから、会いたいときに会っときな」 人はいつ死ぬかわからない。明日かもしれないし、明後日かも、100年後かもしれない。だが、いつか死ぬことだけは確かだ。それがいつ訪れるかだけがわからない。 『DEATH NOTE』(古い)のように人の寿命が分かっていたら、きっとこのようには思わないだろう。 人の寿命がわからないからこそ、会いたい時に会っておいた方がいいと思う。 昨日、学生時代の友人に会った。彼女は大切な人を突然失っており、最期に会えなかったこ

      • 生まれながらに愛することができない僕たちが、人を、世界を愛せるようになるために/フロム『愛するということ』

        本書を読み終えたとき、言葉にならない実感とこれから先の未来を生きていくための指針を与えられたような気がした。パッと霧が晴れていくように目の前が明るくなり、やるべきことがひとつひとつ積み重なって待ち構えているような気がした。 本書にはアナウンサーの弘中綾香さんが帯コメントを載せている。彼女が寄稿した「生まれながらに愛することができる人はいない」という一節の意味が読み終えた今でははっきりとわかる。彼女がその数文で私たちに何を伝えたかったのか、何を考えてほしいのかがよく理解できる

        • 詩と心について/紀貫之『古今和歌集「仮名序」』

          やまと歌は、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける。
世の中にある人、事業(ことわざ)、繁きものなれば、心に思ふことを、見るもの聞くものにつけて、言ひ出せるなり。 花に鳴く鶯、水にすむ蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける。
力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女の仲をも和らげ、猛き武士の心をも慰むるは、歌なり。 かの有名な紀貫之が記した『古今和歌集「仮名序」』というものは詩の本質というものを表していると思う。詩に

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          アイデアを逃すなメモを取れ/外山滋比古『アイディアのレッスン』

          あなたにはこんな経験はないだろうか。私にとっては考えただけでゾッとする、もう二度としたくない経験なのだが。 会話をしているとき、本を読んでいるとき、湯船に使っているとき、運転をしているとき、生きているとさまざまな場所で私たちは「アイデア」というものと出会う。それはくだらないものから、面白いものまで。はたまた、アリのようなサイズのものから、宇宙のような壮大なものまで。ユーモアの有る無しも姿形も大きさもさまざまだ。 そんなアイデアと出会ったとき、きっと私たちはこう思う。 「

          アイデアを逃すなメモを取れ/外山滋比古『アイディアのレッスン』

          「楽しかった」は青春の証/茨木のり子・長谷川宏『思索の淵にて』

          中学時代、私は国語の時間が大嫌いだった。特に小説と詩の授業が嫌いだった。「作者の気持ちはどうか」とか、「このときの主人公の心情は」とか、読解力も行間を読む力もなかった私はこの手の問題が大の苦手だったからだ。何度詩を読んでも、それが表現していることが全く分からず、頭を悩ませている時間が多かった。周りの人たちからの「なんでわからないの?」というきつい視線を感じながら毎時間惨めな思いをしていた。 その上、先生の説明の仕方が、綺麗な平坦のクッキーの生地が型にはめられて形を同じにさせ

          「楽しかった」は青春の証/茨木のり子・長谷川宏『思索の淵にて』

          信仰とは何か/三浦綾子『塩狩峠』

          「あなたって何がしたいの? 毎回毎回言うことが変わるから、付き合う身としては大変なんだけど。生きる上での芯ってないの?」と友人に言われたとき、生きた心地がしなかった。生きる上での芯、そんなもの考えたこともなかったからだ。ただ風に漂う綿毛のように、流されるまま、行き着けばいいと思っていた。行き着いたところが自分の人生の終着駅だと思っていたからだ。どこでもよかった。何をしていてもよかった。なるようになるとしか思っていなかった。だから私は未来のことなど気にせず、ただやりたいことをや

          信仰とは何か/三浦綾子『塩狩峠』

          「自分の時間を生きているか?」/ミヒャエル・エンデ『モモ』

          「なんでそんなに生き急いでいるの?」と友人によく言われる。生き急いでいると思ったことは一度も無いのだが、どういうわけか第三者から見ると、そう見えてしまうらしい。一日の中に「やらなければならない」事を詰め込んでいる自覚はあるが、生き急いでいるというほどではないと思っていた。10時から12時の間はこれ、12時から30分間は休憩というように、きっちりスケジュールを組んでいるだけだからだ。そうする方が時間を無駄にすることがないからこうしていたはずなのだが、どうやらそこからくる余裕のな

          「自分の時間を生きているか?」/ミヒャエル・エンデ『モモ』

          社会人が大学に通うためにはどのような選択肢があるのか考えてみた

          もう一度大学に通って学びたいことがある。しかし、仕事があって大学になんて通うことができない。 そのような悩みを抱いたことはないでしょうか。 「学生の頃、もっと勉強しておけばよかった」と思ったことはないでしょうか。 「学びたい」 でも、そのためには仕事を辞めなければいけない。さすがにそれはリスクがでかい。 しかし、仕事を辞めなくても大学に通うことができるとしたら? 仕事をしながら学びたいことが学べるとしたら? そのような選択肢を選んでもいいんだ、ということを今日はお

          社会人が大学に通うためにはどのような選択肢があるのか考えてみた

          ワルツと生活―菅間一徳『you are my waltz』より―

          キッチンでコーヒーを淹れている女性を写しているだけの映像に、なぜここまで心を奪われてしまうのだろう。なぜ涙を誘われそうになっているのだろう。 女性の笑顔がまぶしいからなのか。厨房に入ってくる光がとても美しいからなのか。それともBGMのピアノとギターの旋律が綺麗だからなのか。 「コーヒーをおふたつですね! 少々お待ち下さい!」 ペコリと頭を下げ、ポニーテール姿の女性は元気よくそう言って、キッチンへと向かっていった。 「愛想が良い女性は何倍にも増して可愛い」と母親が言って

          ワルツと生活―菅間一徳『you are my waltz』より―

          自己対話と自己理解について

          やっぱり何度考えても自分は他人のように平明で明るくて、どこか希望を感じさせるような(未来は明るいよ、きっと大丈夫! みたいな)文章は書けない。 どこまでも内向的な人種なので、自分の中の負の感情に引っ張られ、またそれを引き起こす心理的な認知的な特性にも引っ張られてしまう。 じゃあいっそ、自分の内面のことを必死に考え続けてみようかと思ったわけだ。引っ張られるくらいならこちらから出向いてやろうと。そうすれば何かが生まれるかもしれない。 自分の思想の根源みたいなところに向かって

          自己対話と自己理解について

          ライティングをこれから始める人と、壁にぶつかっている人へ

          たまには告知でもさせてください。 「READING LIFE」という天狼院書店が発刊しているウェブマガジンに執筆した記事が掲載されております。お時間があるときにでも読んでいただけると嬉しかったりします。上は自分のブログを掲載しています。ちょっと思うことを書きました。 ライティングをはじめて半年間でのはじめての挫折。そのときの感情を赤裸々に綴りました。 感想でもいただけたら、私の力(精神的にも技術的にも)になりますので、お待ちしています。

          ライティングをこれから始める人と、壁にぶつかっている人へ

          悔しさとこれからと

          時刻を見ると23:50を指していた。 「まずいまずい。時間がない。」 キーボードを叩く速度が加速する。しかし、書いている文章は支離滅裂になっていく。どれだけまとめようと思ってもきれいにまとまってくれないのだ。全文とのつながり、因果関係など。論理が破綻していく。時間が少はしずつなくなり、文章はまとまらず、私は焦ってしまった。 23:55。 「もう諦めてしまえよ」 内なる心の声が私の手を止めようとする。内心、間に合わないことは理解していた。しかし、逃げたくはなかった。受

          悔しさとこれからと

          セイタカアワダチソウ

          公園を歩いていると、足元に黄色い群集を見つけた。緑が生い茂る中に、数本の黄色い命たちが集まって元気に生きていた。おそらくこの群集の中で彼らはマイノリティなのだろう。だが、個体数は少なくても団結して生きていこうという気概を感じた。力強く、手を取り合って生きていこう、そんなことが伝わってくる。共存というものは我々動物だけではなく、植物にも与えられたものなのかもしれない。声を発することはできないが、彼らなりの方法で繋がり合い、生きている。その姿に公園で遊んでいる家族の姿が重なって見

          セイタカアワダチソウ

          療養期間

          久しぶりに療養の期間をとった。季節の変わり目からか、自律神経が不安定になっていたので、思い切って金曜日から療養をとることにしたのだった。仕事は上司にごめんなさいと謝り、なんとか休みをいただけた。とにかくこの3日間は体を休めることを最優先に、欲しいものを買ったり、友人に会ったりしようと思った。部屋で1人閉じこもっていた方が精神衛生に悪いということはわかっていたので、極力閉じこもらず、外に出て自然を浴びようと考えていた。 *** 金曜日。休みの日は午前中から外に出なければ、た

          雨の日

          昼寝から目を覚ますと、部屋には誰もいなかった。ペットのラッキー(トイプードル。可愛い)が私の隣で寝ていただけだった。昨晩あまり寝れなかったせいもあり、昼からしっかりと寝てしまった。 休日の夕方に部屋に私一人なのは珍しかった。とりあえず目を覚ますためにコーヒーでも淹れようと思い、キッチンへ向かった。静寂に包まれた部屋の中に私の足音がこだまする。空気がどこかピンと張りつめたような感じがする。まるで神社の境内を歩いているかのようだった。 普段と何も変わらない部屋、いつもと違うの