信仰とは何か/三浦綾子『塩狩峠』
「あなたって何がしたいの? 毎回毎回言うことが変わるから、付き合う身としては大変なんだけど。生きる上での芯ってないの?」と友人に言われたとき、生きた心地がしなかった。生きる上での芯、そんなもの考えたこともなかったからだ。ただ風に漂う綿毛のように、流されるまま、行き着けばいいと思っていた。行き着いたところが自分の人生の終着駅だと思っていたからだ。どこでもよかった。何をしていてもよかった。なるようになるとしか思っていなかった。だから私は未来のことなど気にせず、ただやりたいことをや