1.コンピュータとの出会い

 私は、197X年生まれである。戦後30年も過ぎ、幼い頃はピンクレディーやキャンディキャンディのアニメを見て育った。
小学生の頃は1980年代真っ只中で、アイドル全盛期だ。松田聖子・中森明菜・小泉今日子・荻野目洋子、シブがき隊、チェッカーズ、C-C-B、少年隊。アニメは戦隊モノやガンダム、あぁ、キン肉マンとかもあったな、そんな時代を過ごしていた。

 そんな時代に、「コンピュータ」と言うとNECの9800シリーズを思い浮かべるのだろうが、私とコンピュータとの出会いはそこではなかった。

 小学生になるまで、コンピュータと呼べるものは、「電卓」だった。
今じゃ、100均でも簡単に手に入るシロモノになったし、スマホには当然のようにアプリに入っている。
そんな電卓も、当時は高級品だった。たった8桁の計算しかできないくせに、単3の電池を4つも5つも使う。しかも重い500g以上あった。文字盤に至っては小さいのなんの。でも、レッキとしたコンピュータだ。

 小学生になって最大の出会いはやはり「ファミリー『コンピュータ』」通称、ファミコンである。
それまで、ゲームなんて物はゲーセンか喫茶店に備え付けられていたインベーダーゲーム、あとはゲームウォッチくらいしかなかった時代に、家でテレビゲームができる、という画期的なシロモノが現れたわけである。
 いとこの家で「ロードランナー」を初めてやらせてもらい、感動したのを覚えている。しかし、我が家にファミコンがやってくるまでにそれから1年以上後になるが。

 ファミコン=ゲーム という繋がりだった私に、「コンピュータ」という存在を強く意識させた製品が発売される。「ファミリーベーシック」というキーボードだ。
「自分でゲームが作れる」という触れ込みで売りに出され、親に買ってもらったのだが、終ぞ私はゲームを作れなかった。結局音楽ばかり作って遊んで終わってしまった。キーボードにも慣れることができなかった。

説明書(今でいうコード作成用のドキュメントだったのだろう)に書いてあるがわからなくて父親に尋ねたのだが、的を得なかった。というか小学生の自分には理解できなかったというべきか。今でも覚えている「関数f(x)」とか「変数x」「定数a」という言葉が説明書に書かれていたことを。

そうこうするうちに、中学生になり、部活や勉強に追われて、ゲームからどんどん遠ざかっていき、ファミリーベーシックのキーボードも、どこかに押し込まれてしまい、記憶の彼方にいってしまう。

でも、このときの「使いこなせなかった」キーボードの存在が私の中で鮮明に記憶され、キーボードを打ちこなし(ブラインドタッチ)、圧倒的な速さでコードが書ける人への憧れが生まれるのである。

コンピュータへの憧れはこのとき始まったのだと、今更ながらに思うのである。


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