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ポイントカード使ったことない (12/27)

・今日は電車に乗って大学の図書館に行く用事がある。実習の課題でグラフを引用するためにどうしても必要な論文があったからだ。それはある原子核反応についての実験結果で、内容自体はもう50年以上前から詳しい性質が分かっているような古典的なものだ。

・そんなに昔から理解が進んでいる現象なんだから、Google Scholarでちゃちゃっと検索すればさぞかし論文がどさどさ出てくるかと思いきや、いっこうに欲しい情報が出てこない。よく知られた結果すぎて、最近の人は誰もそれを論文にしようとしないのだ。やっと知りたかったグラフが載った資料を見つけたと思いきや、それは50年前の論文の引用だったりする。結局、引用の根元を辿っていったら1962年に発表された論文に行きついた。これで一件落着……と思いきや、なんとその論文だけネット上からアクセスできない。閲覧は有料で、大学の権限を使っても読むことができない。勘弁してほしい。

・というわけで、重い腰を上げて電車に揺られ大学のキャンパスの最寄り駅までやってきた次第である。

・いつも授業を受けるキャンパスとは違うので、普段はまったくお世話になっていない。ここに来るのはほんとうに久しぶりだ。忘れていたけど、結構駅から遠いんだよな。

・学生が無料になるシャトルバスが運行しているのだけれど、なんとなく歩く気分だったのでバス停を素通りしてだだっ広い道を進んだ。天気もいいし、コートとマフラーで武装しているのでそんなに寒くない。

・30分くらい歩いてキャンパスに着いた。大学図書館ってどこにあったっけ。案内板が近くに見当たらないので数年前に来たときの記憶を掘り起こす。たしか左だったはず。

・しばらく歩くとガラス張りの大きな建物が顔を出した。勘は当たっていたようだ。何やら工事をしているおじさんの横をすり抜けて意気揚々と入り口に向かったら、あれ? 閉まっている。

・〈某ウイルス感染症の影響でサブの出入口を封鎖しています、正面入口におまわりください〉、そうですか。まわれ右して工事のおじさんともう一回すれ違う。ちょっと恥ずかしい。

・建物の中に入ると、想像よりもたくさんの人が閲覧席(実質的な自習席)に座っていて驚いた。学部生はほとんどこのキャンパスに通わないはずだから(いるとしても4年生だ)、ここにいるのはほぼ院生なのだろう。もうすぐ大晦日なのにご苦労さまです。

・お目当ての論文が載っているジャーナルは1960年代に発行されたものだ。当然、手に取れる場所に置いてあるわけはなく、閲覧するには申請して閉架から出してもらわなければならない。どうやら、備え付けのパソコンから出庫申請をすると、5分くらいで出してきてカウンターに行けば渡してくれるらしい。なんで知ってるかって? さっき図書館のホームページを検索してめちゃめちゃ調べたから。

・私は、未知の場所で未知のシステムを利用するとき、失敗したくないから徹底的に下調べをするタイプだ。初めて行くチェーン店、初めて行く美容院、初めて利用する図書館など、ひとたび経験したら決して間違えないけど、初回は”当たり前”が分からずに想定外の行動をしてしまう、のが絶対に嫌だ。いまだにシステムが分からないので牛丼チェーンに一人で入ったことがない。食券買ったら勝手に席に着けばいいの? それとも呼ばれるまで待つ??? 張り紙に書いてくれないかな……

・昔はもっと重症だったのだけれど、今では知らないラーメン屋も一人で入れるし、ある程度失敗しても気にせずリカバーできるようにはなった。それでも初めて行くところは緊張する。

・というわけでパソコンをぽちぽちして論文の出庫申請を済ませる。5分くらいしたらお渡しします、というメッセージが画面に表示される。なるほど、5分待てばいいのね。

・たぶん用意ができたらカウンターで呼ばれるだろうから、5分くらい本棚をうろうろして時間を潰す。5分待つ。……10分待つ。あれ???

・本棚の隙間からこっそりカウンターのほうをのぞくと、係のおばさんは微動だにせず座っていて、閉架から本をとり出している様子がない。そもそも、パソコンの画面を見ていさえいない。え、私の申請、届いてる?

・仕方がないからカウンターに出向いて、「申請していたんですけど……」と言ったら、「え?あ、はいそうなんですね」とおもむろにパソコンの画面をチェックし始めた。いや知らなかったんかい。

・係のおばさんが立ち上がって奥の方でごそごそしていたかと思うと、30秒くらいで欲しかった論文を取り出してきた。5分待てって何だったんだろう。心の中で自分の”生きるの下手ポイント”に+1ptする。


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・歩くのが疲れたから帰りはシャトルバスを使おう、と思って時刻表を見たら次のバスが30分後だった。仕方なくきた道を歩いて戻る。

・近くの用水路に大量のカモがいた。カメラを向けるとばしゃばしゃばしゃ! というすごい音を立てて水を撒き散らしてきた。元気でいいね。

・そういえばお昼ご飯を食べていなかったことを思い出して駅前のららぽーとに寄る。何もないことで有名な柏の葉だが、ららぽーとだけはある。

・ららぽーとに来るのは半年前に『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』を見にきて以来だ。評判を聞いて見に行く気になったのがどの劇場も上映終了になりかけていたころで、近所だとここしかやっていなかったのだ。

・何食べようかな、とフードコートを二周ぐるぐるしたが、なんとなくサブウェイの気分になった。

・サブウェイといえば、注文時にパンの種類やらトッピングやらを細かく選べるので注文難易度がかなり高いことで有名だ。それもあって普段行くことはなく、食べるのは2年ぶりくらいかな。

・注文が難しいとはいえ、そんなことで敬遠しているのは恥ずかしい。初めてのお客さんが困らないように、注文の仕方とかトッピングの種類が印刷された紙がちゃんと掲示してある。ていうか知ってるから。最初にパンの種類を選ぶんでしょ? あ、ハニーオーツでお願いします。

・と言ったらイケメン陽キャの男性店員さんに???という顔をされてびっくりした。え? なんで??

・最初にサンドイッチの種類を選ぶのを忘れていた。しにたい。しかもその後で申し訳なさそうに、ハニーオーツは品切れですと言われた。こーれは生きるの下手ポイント+10。

・サブウェイでバイトするの楽しそうだな。あらゆる種類の挙動不審が観察できそう。


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・帰ってから日曜に開催されたAtCoder Regular Contest 132の問題を解いた。AtCoder Problemsをチラ見するかぎり青diffのC問題までは歯が立ちそうだ。


A - Permutation Grid

・$${(1,\cdots,N)}$$の順列$${R_1,\cdots,R_N;\; C_1,\cdots, C_N}$$が与えられるので、「$${i}$$行目の黒マスの数が$${R_i}$$」「$${j}$$列目の黒マスの数が$${C_j}$$」という条件をすべて満たす$${N\times N}$$のグリッドを構成する問題。

・問題文がややこしいが、条件を満たすグリッドは

....#
...##
..###
.####
#####

をもとに、$${R_1,\cdots,R_N;\; C_1,\cdots, C_N}$$にしたがって行と列をシャッフルしたものである。だから、シャッフル後のマス$${(r, c)}$$は、シャッフル前のマス$${(R_r, C_c)}$$に対応する。よって$${R_c+C_c-1\geq N}$$なら黒マス、そうでないなら白マス。


B - Shift and Reverse

・$${(1,\cdots, N)}$$の順列$${P_1,\cdots,P_N}$$が与えられるので、「全体を反転させる」「先頭の項を末尾に移動させる」という操作だけを行って順列を昇順ソートするために必要な操作回数の最小値を求める問題。ただし、有限回の操作でソートが不可能になるような入力は与えられない。

・なんだか無駄に混乱して時間がかかってしまった。

・よくよく考えると、反転操作とシフト操作によって数列の項どうしの位置関係は変わらない(数列の先頭と末尾はつながっているとみなす)。よって、「[A] もともと並びが昇順で、先頭位置がずれているだけ(例:5 6 1 2 3 4)」「[B]もともと並びが降順で、先頭位置がずれているだけ(例:2 1 6 5 4 3)」のどちらかの場合しか、これらの操作によってソートすることはできない。

・[A] の場合は、「シフト操作だけで先頭位置を合わせる」「反転操作→シフト操作で先頭位置を合わせる→反転操作」のどちらか操作回数の少ないほうが答えになる。反転操作を2回より多く行うのは明らかに無駄だからだ。

・[B] の場合は、必ず反転操作を1回行う必要がある。「シフト操作→反転操作」「反転操作→シフト操作」のうち操作回数の少ないほうが答え。

・全体の計算量は$${O(1)}$$になる。


C - Almost Sorted

・$${1,\cdots, N}$$と$${-1}$$からなる数列$${A_1,\cdots,A_N}$$と整数$${D}$$が与えられるので、$${(1, \cdots, N)}$$の順列$${P}$$であって、$${-1}$$以外の項が$${A}$$と一致し、しかも各$${i}$$に対して$${|P_i-i|\leq D}$$を満たすようなものの個数を数え上げる問題。B問題であほみたいに悩んでしまったので、こちらのほうが簡単に感じてしまった。

・結論から言うと、順列$${P}$$の各項を先頭から順番に決めていけばよい。各項の数の選び方は高々$${2D+1}$$通りで、$${D}$$の制約が$${1\leq D\leq 5}$$なので、$${2D+1}$$通りの選択肢のうち「(既に選んでいる or 確定しているために)選べないマス」の集合を管理していくbitDPで解くことができる。状態数が$${O(2^{2D+1}\times N)=O(4^D\times N)}$$で遷移が$${O(D)}$$なので、全体の計算量は$${O(4^D\times ND)}$$となる。


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・夕ご飯を食べたあとは、アルストロメリアのイベントコミュ「流れ星が消えるまでのジャーニー」を読んだ。前作「薄桃色にこんがらがって」のように劇的なことが起きるわけではないけれど、描写が丁寧ですごく良かったね! ちょっと雑多な短めの感想を書いておきます。(ここからネタバレ)

・「流れ星が消えるまでのジャーニー」は、そっくりで見分けがつかないと言われていた双子の大崎姉妹が今の ”甘奈” と ”甜花” になっていく過程を、過去と現在を行き来しながら描く物語だ。

・メインのテーマもかなり良かったのだけど、個人的にぐっときたのは、コミュで描かれた3人の日常のディテールが、今までのサポートコミュとは段違いの質感で描かれていた点である。

・序盤、両親が不在のときに風邪をひいた甘奈のもとに千雪とプロデューサーがお見舞いに行くシーン。会話の運びとか空気感がリアルでかなり好き。言語化できないちょっとした気遣いとか、細かい間だったりとかの表現をちゃんとしてくれるの、いいね。

「流れ星が消えるまでのジャーニー」よりオープニング「夜が来るよ、ジュメル」

・説明の省略具合も良かった。甘奈が風邪を引いちゃったからいまからお見舞いに行こう!、というセリフを挟むような野暮なことはしない。仕事終わりにスタッフに引き止められるも、何か気がかりなことがあってそわそわする甜花の描写のあと、プロデューサーの運転する車の中で上のようなやりとりが行われる。これさえ書けば今から二人が甘奈の見舞いに向かうことくらい分かるだろ、という読み手への信頼感が嬉しい。

・もちろんこんなのは当たり前の技法だけど(別にシャニマスがすごいわけではない)、当たり前のことを当たり前にやってくれるだけで安心するよね。

・終盤、風邪がうつってしまい布団で寝込む甜花のもとに、甘奈がやってきてふたりで長いあいだ静かに話す場面。大好きなシーンだ。

・時間をたっぷり使って、BGMも流さず、ふたりの声のほかにはただ雨音だけが響く。映画館で長回しのワンショットを観ている気持ちにさせられ、とても心地よかった。

「流れ星が消えるまでのジャーニー」より第5話「とろけるおふとん」

・初めは中身も外見も見分けがつかないほどそっくりだった甘奈と甜花だったが、次第に趣向が別々になっていく。こうして、現在のような明るくて友達が多くてフレンドリーな甘奈と、引っ込み思案でインドア派、ゲーム好きの甜花が形作られていったわけである。

・それはそうなのだけれど、単純に「甘奈と甜花は別物になった」という結論に持っていかないのがおしゃれだ。甘奈にだって、自らの抱える底知れぬ怖さに襲われるときがある。甜花にだって、妹が倒れたときは率先して看病をするしっかりした一面がある。同じだけど違う、違うけど同じ。それが、いまの大崎姉妹なのだ。

服が2着、同じもの
靴が2足、同じもの
イチゴ、ピーチ、砂糖菓子
ケーキの上に、同じだけ

服が2着、違うもの
靴が2足、違うもの
違う遊び、違う願い
イチゴとピーチはそれぞれで

「流れ星が消えるまでのジャーニー」よりエンディング「シャンテ、これからも」

・ショッピングモールに買い物に出てきたアルストロメリアの3人が、女子高生のファンに話しかけられるシーン。甘奈と甜花を見間違えてしまい平謝りするファンに対する大崎姉妹の返答は、いまの二人の関係性を象徴しているようだ。

「流れ星が消えるまでのジャーニー」より第6話「静かに、夜が逃げないように」


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・夜はサークルのメンバーとDiscordを繋ぎながら久しぶりに「Among Us」をやった。宇宙船の中で、裏切り者「インポスター」と彼らの暗躍を阻止するために奮闘する「クルーメイト」が闘う、言わずと知れた人狼系ゲームである。1年前はそれこそ毎日のようにAmong Us会が開かれ、狂ったようにやっていたが、その熱も下火になったようで、最近はめっきりプレイしていなかった。でも久しぶりにやるとやっぱり楽しいね。最近のアプデで「科学者」やら「技術者」などの新役職が追加されたらしく、それらの新要素を開拓していくワクワク感もあって飽きなかった。

・Among Us、自分がクルーメイト陣営のときは気が楽だし、アドミン(マップ上の各部屋にいる人数が監視できる場所)に張り付いて情報集めをしたり、積極的に議論に参加していこうとしたりするのだけど、インポスターを引いたときは冷や汗ものだ。自分がインポスター陣営だと分かった瞬間、うまく立ち回らなきゃ……という重圧がどっとのしかかってくる。

・特に相方が積極的にキルをするタイプではないときだと、自分がリードしなきゃ、と勝手に気を遣ってあたふたする。クルーメイトのふりをして議論に参加するのも苦手だ。絶対に声のトーンとか話の持って行き方が変わっているんだよな。結構バレてそうで怖い。

・でも嘘つくのめっちゃ楽しいんだよな。クルーメイトっぽい行動や喋り方をして相手の盲点に潜り込むのに成功したときに分泌されるアドレナリンの量が半端じゃない。これは世の中から詐欺師がなくならないわけだ。

・あもあす会は1時に終わったのだけれど、そのままDiscordでだらだら雑談していたら空が明るくなっていた。雑談と言いつつ自分の喋りたいことだけ喋ってひとりで勝手に盛り上がってしまったの、本当に反省してる。自分の悪いところが全部出ていたな、あれ。あーーーーーーーー生きるのが下手。

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