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奇跡の歌声

 購入から10年以上が経過していた家のテレビが故障した。画面に余計なタテ線が走るほか音声も外付けスピーカーからしか出てこない。流石に使用継続を断念して、新品を買った。

 画面のベゼル(縁)が小さいだけでなく音質もはっきりと向上していて、なるほど「女房とテレビは新しい方が良い」と言われるだけのことはある。

 いまどきのテレビなので、リモコンには始めから「TVer」「YouTube」「prime video」「ABEMA」などのボタンがごちゃごちゃとついている。なにしろ世の中にはテレビ放送を受信するためのチューナーが搭載されていない“テレビ”もあるというのだから、テレビ局に奉職するからといって、いまさら目の敵にしても仕方がない。

 ちょっとした時間があったので、なんとなくYouTubeを眺める。いずれも特に面白くもないが、それを言ったらテレビ放送の90%も面白くないのだから、おあいこである。

 キーワード検索ができるので「カーペンターズ」を出してみたら、カレン・カーペンターの歌唱映像がそこそこ引っかかってきた。
 
 これが素晴らしい。鳥肌モノだった。

 カレンの歌声が美しいのは十分に覚知している。しかし本人の映像付きで聴くと、“立体感”がまるで違うのだ。

 カーペンターズの歩みを紹介したドキュメンタリーもあった。ドラムが大好きだったカレン、当初は歌うことには消極的だったというのが面白い。
 
 自分よりも年長だったのでずいぶんおばさんのように見えていたが、32歳の若さで亡くなったのか。ネットで関連情報を探してみたら、埋葬地の碑文の写真に行き当たった。「A STAR ON EARTH - A STAR IN HEAVEN」とある。

 今朝の出社時ウォーキングはカレンの歌声をじっくり聴きながら歩いた。本人は亡くなってしまったが、この美しい歌声が遺されたことは奇跡のようにも感じる。
 
 死亡記事の手あかにまみれたつまらない見出しのようだが、「歌声は永遠に、だなあ」と考えていた。
(23/6/27)


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