十三騎兵防衛圏におけるセクター耐用限界について

十三騎兵防衛圏におけるセクターの耐用限界についての考察です。

箱庭計画は滅びゆく人類の種を残すため、テラフォーミングを実施し居住可能な惑星を発見し遺伝子保存された15人の少年少女達が同惑星で生成され、人類としての再出発を企図する計画です。

2188年の鷹宮教授(南の母親)と森村千尋博士の会話で、「群体としての機能を重視」した計画であることが判明します。
群体とは、小魚や小鳥といった生物群が群れとなし個体のみではなく全体として行動する生態を指します。
同機能に於ける群体の機能は、箱舟計画の宇宙船が、1艦2艦の船体ではなくおそらくは数十数百の個別機能を有した宇宙船群であると推測されます。
同機能の重視により、テラフォーミング過程で、物資補給やハードウェアの再生機能も兼ね備え数百年、数千年にわたる航程を可能としています。

この物語のキーマンである因幡が井田に警鐘を鳴らします。
「セクターの耐用限界のため、本物語のループが最終ループである」との警鐘です。

私は、1プレイ目は、ここで疑問が湧きました。
群体としての強度を有する計画に於いてハードウェア的な耐用限界がありえて良いのかという疑問です。

2つの仮説が回答として推測できます。
1つは、セクターそのものは長大なテラフォーミングの末に惑星に製造されるものと推測すれば、テラフォーミングの強度とセクターの強度は異なる、というものです。
この場合はループを繰り返し続けた場合、セクターの再生成が必要となる事は理解できます。
但し、セクターが再生成されたとして、セクター0が再生成されたとして、もともとの遺伝子及びセクター情報がなくなる訳ではないでしょう。
故に、同理論では、物語中の1985の最終ループの十郎たち15人の自我こそ移行されることはありませんが、「育成ポッドの中で鳥かごから出る事ができず、いずれ15人は朽ちる」と言う結果との矛盾が生じます。

もう1つは、こちらは私の推測なのですが、耐用限界というのはハードウェア的限界を指すのではなくソフトウェア限界を指しているのではないかとの仮説です。
各セクターはユニバーサルコントロールが管理しています。
OSないしはAPI形式の管理システムだと思われます。
ユニバーサルコントロールがAI機能を有し、学習しえるのかどうかはわかりません。
ただ、同セクターは15人の人類再出発のための教育環境目的であり、通常であれば1ループで15人の自我は育成が完了し、仮想世界から出て人類としての歩みを始めることを想定しています。
何かしらの不具合を想定・およびユニバーサルコントロールに15人の自我育成が成功だと判断する権限がある場合にはループが行われる設定があってもおかしくないでしょう。
ただし、永遠に近いループというのは想定外であることも推測できます。
古くはシステムの2000年問題のように開発者が想定していなかった事態というのはおこえりえるものです。

箱舟計画の想定外の自体は2187時の東雲が井田の裏切りに対し、Dコードを忍ばせたことに発端があります。
この事態はバグであり、ユニバーサルコントロール自体が認識しえないとのバトル中での説明が入ります。
セクター設計者の三浦および環境管理システムの構築者沖野も、ループし続ける自体と言うのは想定していなかったのではないでしょうか。
結果生じた、システム上の任意に設定された再生限界によりループは1985の物語で幕を閉じることになります。
イメージとしては、VMWAREやVirtul BOXと言った仮想OS再生ソフトウェアに体験版的使用期限があるようなものでしょうか。
この場合、セクター0が再生成されたとして、新たに育成プログラムを始めるプログラムが組まれていなければ、主人公達は永遠に育成ポッド(騎兵のコックピット)から出ることができなくなります。

一応両説どちらを選んでもSF的こじつけは不可能ではありませんが、何となく私は後者の方がしっくりくるかなと感じましたのでメモとして残します。
なお2プレイ目には違う解釈が生まれるかもしれませんし、見落としもあるかと思われますのでご承知おきください。

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