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長い旅の途上

「きっと、人はいつも、それぞれの光を捜し求める長い旅の途上なのだ」

すきな星野道夫さんのエッセイの一節。

私にとって、日々を生きるのは思ったよりもむずかしくて。
年を重ねるごとに、いろいろなものを抱えては、手放し、
大切にしたかったのに、自分のせいで守り抜けずに突然に忽然と奪われてしまったり。
心を磨耗する小さな小さな出来事を重ねては、誤魔化して。
楽しくしていても
かなしいや辛い、しんどかった気持ちはなくなることはなく
どうしたって付き合っていかなくてはならない。
それはわるいこととは思っていないけれど、やっぱり足取りは重くなるし。
人に話すと、言葉にすると、なんとちっぽけな、と思えてしまい、
そんなことでいちいち傷ついている自分があほみたいで恥ずかしくて、それでまた落ち込んでしまったり。
自分の出来事、誰かとの出来事は、その本人にしか分からないから、
そっとしておいてほしいような、でも助けてもほしくて…。

みんなきっと、そんなんなんだと思います。
それをやりくりするために、それぞれの趣味やすきなことがあるのだとも思います。


私には本を読むこと、だれかの作ったものを観ること、
という行為が、自分と向き合い、何かをやり過ごしたり乗り越えたり、
前に進むために必要な行為になっています。

昨年の秋、ある出来事で自分を追い詰め、かなしみに打ちひしがれていた時があって、
ちょうどそんなタイミングで大阪福島のカフェギャラリーcafe fouet° さんで大坪さんの個展が開催されていました。

ふらふら、ふわふわとした意識を抱えて、店内に入った途端、
そのやさしい眩しさのような光を全身に感じて、久しぶりに目が覚め、心が震えました。
いろいろなことが億劫になっていた私に、また作品と対面し考えごとをすることの楽しさや、新しい場所へ足を運ぶわくわくを思い起こさせてくれた、きっかけとなるとても大切な出来事でした。
大袈裟ではなく、あの展示を観ていなかったら、きっとこんなにすぐに自分のお店をカタチにすることはなかったと思います。
まちがいなく、原動力の一つとなりました。

作り手の方が日々見たもの、感じたことを 絵なり立体物なりの作品として生み出されたとき、それを観ることを通して、同じ人間として、もしかしたら同じような気持ちを抱いた経験があるのかもしれない、
はたまた、’こんな捉え方もあるのか!’と新たな気づきを与えてくれることもある。

そういった、だれかの作ったものを通して、自分の気持ちを整理したり、
刺激をもらって考えごとをブラッシュアップしてもらったり。

私にとっては、それこそが、人生という名の長い旅の途上で不可欠な、光になっています。
自分は既にそういう居場所というか、生きながらえる術を持ち合わせている。それが贅沢であることにも気がついています。
だからこそ今度は、だれかの光になるようなことをして
これから先の人生を生きていけたらいいなぁと深く願いました。
その自分の実験、活動の一つがこのお店。

(・・・とか。あぁ、ここまで書いていて、今さら、熱苦しい・・・どうしよう。笑)

押し付けたくもないけれど、
作家さんのお力をお借りして、だれか、求めている人にとっての
居場所の一つ、駆け込み寺みたいに、
なんかしんどいな、ってことがあった時に行きたい場所として在ることができたなら。
生で見ることでしか体感できないような感情を、一人でもだれかに届けられて、光になれたなら。
烏滸がましいにも程がありますが…それを自身の生き甲斐にしていきたい。

とはいえ全然、ただただ楽しみの場所として思ってくれるのもすごくうれしいです。
かわいい、かっこいい、楽しい、を提供していけたらそれもうれしい。

(…いつもながらまとまりません。すみません。)

今度展示をしてくださる大坪さんとは、まだまだ短いお付き合いではありますが、彼女の作品を見ていて、落ち着いた感じ、静けさもあるけれど、
大切な人やだれかの想いを一心に受け止め、試行錯誤し、作品として昇華している感じが、私には情熱的にも見えて、その向き合い方と作品への表現の仕方がすごく魅力的な方だなと。すごく尊敬しています。
尊敬し見習いたいその真摯な姿勢と合わせて、
若さ故に溢れる好奇心のようなオーラも感じて、
これからますます、いろんなものを見たり経験したりされて、
彼女自身も、作品も、きっと変化してゆくのだろうなと思うと、
一ファンとしてもそれが楽しみでならないのです。
気負わずに、やりたいと素直に思うことをなるべく長くやっていってほしいなと願います。

そんな、私にとっても特別な作家さんの個展を、
自身のお店でやっていただけることの喜びを噛み締めながら。

どうかどうか、今ここにしかない作品展を お時間つくって足を運んでいただけるとうれしいなと思います。
皆さまのご来店をお待ちしています。

長いまとまりのない文章をお読みくださって、ありがとうございます。。
展示の詳細は、ひとつ前の記事をご覧いただければと思います。

halo
さきこ

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