雨色の魚と黒い影 第3話.蛙男
日に日に魚影ははっきりとし、もう疑うこともなく、目の中に魚がいる。
はて、どうしたものか。
他人から、目の中の魚が見えはしまいか。
顔を洗って覗き込んだ鏡を見て、ふと、不安を覚えた。
出勤途中に早くから開いている、お年寄りばかりが集う薬局に立ち寄り、眼帯を買って左目を塞いだ。
真っ暗になった眼の中で、魚はぱしゃぱしゃと泳ぐ。どうやら、外から見えなくなったのが嬉しいらしい。どうしてそんな風に思ったのかは分からぬが、なぜだかそれが見当違いではないとも思う。
嬉しいのはよいのだが、