『エヴァ』感想文「第弐話:見知らぬ、天井」

初回からだいぶ間が開いてしまったので、今回の感想文を書く直前まで、前回の感想文は観ずに再視聴を開始した。

Aパートは脚本の巧みさを感じた。使徒と対峙した場面の続きから開始され、一方的に大ダメージを負い、その流れからミサトの呼びかけに対して病院で目を覚ますシーンまで一気にジャンプする構成は強烈。第三新東京市の「ビルが生えてくる」シーンでAパートが終了するまで、気が付けばあっという間であった。

Bパート終盤では、シンジがベッドの上でSDATを再生しながら、使徒との戦闘の「回想」が行われる。使徒撃破後、ビルのガラスに反射するエヴァ初号機の再生した瞳を直視したシンジの叫びで回想は終了するが、この慟哭は回想の中でのみ為されたのか、回想から戻ってくるシンジが実際に叫んだのか。一見すると曖昧なものに思われるが、回想の原則である「入りと戻りの主観視点が同一である」ことと、直後にミサトがシンジの部屋に「人に誉められる立派なことをした」とフォローともとれる声かけをしたことから、回想はシンジ視点で為されたものであり、ベッド上で実際に絶叫したと考えるのが自然と思われる。

その回想における使徒との戦闘において、使徒がA.T.フィールドを展開するのに対し、初号機が位相中和の手法で「侵食」する様が描かれる。この時点で、そもそも「使徒」が何者で、どのように出現した敵性行動体であるのか、視聴者には全く不明であることに気付いた。今エピソードに挟まっている、ゲンドウがエヴァと使徒との戦闘結果を責められる会議のようなシーンでは、使徒の存在が「周知の事実」となったという表現をしており、物語の核心にある人物にとっては自明の事実をこの時点では伏せたままにしておきながら、「人類補完計画」というより上位の目的の存在を示唆するなど、やはり構成の秀逸さが目立つ。

第1話とセットで捉えた方が良さそうなエピソードであった。(了)

実を言うと、半年前に感想文計画を始めるまでの時点で第6話までは視聴済みであったり、『新劇場版「序」』までは断片的に観たことがあったりするので、全く新たな気分で見なおすのはやはり難しい。が、感想文800文字にまとめるためにエピソードを再構成するのが頭の体操になって楽しいので、新型コロナ禍の影響で外出できないゴールデンウィークに少しずつ再開していきたい。

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