2021/6/25(金)角野隼斗さん「オールショパンプログラム」コンサート感想_(1)前半
0.はじめに
(1) レポートについて
・私ができる範囲でのレポートとなります。
・事前に、図書館の書籍等にて調べたりしましたが、調べ足りないところもあると思います。すみません。ご了承ください。
(2)会場について
・当日は、開演40分程前に会場到着。全体的に、とても落ち着いた、上品な雰囲気。ホールは思ったより少し小さく、でも座席と舞台とが近く感じるホールだった。
1.マズルカ:作品24-1~4
(1) 24-1
・第1主題がわかりやすく、大きく響いていた。私がよく聴いていたルイサダ先生の演奏より、少しテンポは速めに感じた。だけど、安定感。中間部は、マズル(ポーランドの一地方マゾフシェ地方の舞曲。快活なテンポの楽しい曲で、しばしば付点リズムを持つ)。響きが特に優雅で、綺麗だった!
(2) 24-2
・跳ねるようなメロディが明るく響く。中間部は特に響きが大きく、綺麗。
・マズルカは付点リズムを多用し、リズム感覚を把握するのが難しいといわれる。この曲もそう。重くなってしまう場合もあるとか。でも、この日の角野さんの演奏からはそれは感じなかった。
(3) 24-3
・高音部が強く、華やかで綺麗。少し速いが、やはり安定感。
(4) 24-4
・第1主題の短調のメロディに思わず、切なさを感じた。高音部の響きがよい。思わず踊り出したくなる感じもあった。
2.練習曲:作品25-4, 25-11
(1) 25-4
・跳躍のための練習曲。彼は活き活きと弾いている印象を受け、跳躍、得意そう!!9小節目からは、右手最上声部をいかにレガートで弾くかが鍵だそうだが、そのレガートもよく聴こえた!!
(2) 25-11「木枯らし」
・有名な曲だとは思うが、私はこちらの曲の生演奏は初めてだった。右手の動きに圧倒された!!人間の手ってこれ程動くの?!鍵盤上をこれ程の速さで動けるの?!みたいな。彼は「きらきら星」レベル6で弾き慣れているのかな!?ものすごいものを見た気がした。音も大迫力。感動で、泣きそうになった。
3.ピアノソナタ第2番「葬送行進曲」:作品35
(1)1楽章
・重々しく始まる。響きは大きい。迫力があった。
・第2主題は長調、ノクターン風。優美で、切なさも表現されていたと思う。なお、当ソナタは「葬送」という副題が付くものの、第1楽章および第2楽章の第2主題は優美で、暗いばかりではない。そういうところが私は好き。
・第2主題が優美なところなどは、彼が安定した生活の時期に作曲したことと関係がありそうな気がする。第3楽章のみ先に1837年に作曲されたが、残りは1839年作曲@仏・ノアン。この頃は生活が安定し、サンドとも充実した生活で、気持ちが穏やかだったという。私は第1楽章、第2楽章の第2主題からはノアンの明るさを感じる。
(2) 2楽章
・第1主題は、「明るいというよりはむしろ破壊的に活発」(Wikipedia)とも言われるがまさにそう。角野さんのも、破壊的なほどの明るさを表現していると思った。
・第2主題、内声も綺麗に、大きめに聞こえた。ノアンの明るさも。
(3) 3楽章「葬送行進曲」
・私はこちらの曲が始まると会場が「ああこれ!きた!」みたいな雰囲気になったのを感じた。「ああ!」みたいな小声が聞こえたような、多くの方の座る姿勢がわずかに変わったような。
・曲の始めの鐘を鳴らすような音は、私が聴いていたブニアティシビリ氏やアルゲリッチ氏のよりは、静かめに感じた。テンポは、ブニアティシビリ氏のと同じくらい、アルゲリッチ氏のよりはゆっくりめ。でも私はゆっくりめくらいの速さの方が雰囲気に合っていると思う。
・中間部は、輝きを感じた。角野さんらしい、素敵な音色。この輝きに、私は教会へ優しくふりそそぐステンドグラスの光を感じる。(またはマリア様の優しい微笑みのようにも)
・再現部は、始め穏やか。しかし、段々重々しく。でも、右手の高音部に光も感じられる気がした。
・ちなみに、「葬送」の標題は珍しくもショパン自身が認めたもの。ただ、祖国ポーランドを哀悼する気持ちからか、それとも友人のオペラ歌手アドルフ・ヌリ氏の自死を悼む気持ちからか(「ショパン 奇蹟の一瞬」)。ショパンの真意は定かではないという。
(4) 第4楽章
・「行進曲の後で両手がおしゃべりする」(Wikipedia)と言われる楽章。調性も明確ではない。不思議な楽章で、「通り一遍に演奏したのでは、到底魅力は出し切れない、非常に難しい楽章」(「図説 ショパン」)とも言われている。その曲をさらっと、いとも簡単に弾いている印象を私は受けた。
4. スケルツォ第3番:作品39
・第1主題のベートーベン的なアルペジオのメロディが、力強さを感じて、良かった。
・第2主題は、コラール風の問いに、下降する分散和音が応え、「レース」、「すだれ」とも形容される。その「レース」のような、音の柔らかさに感動!「木枯らし」で感じた、重たい、強い音とは真逆ともいえる音の違いに驚いた。ピアノって奥深い!!
こちらにて、前半終了。
「2021/6/25(金)角野隼斗さん「オールショパンプログラム」コンサート感想_(2)」 へ続く。
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