『🗓️🎨🔤🥲😆』(AdventCalendarで絵文字についての泣き笑いを書こう)

2023年12月10日 13:35

　この記事は「ゆる言語学ラジオ非公式 Advent Calendar 2023」の3日目です。

　前の記事は　村民さんの「キンタマ好きにキンタマを食べさせる、たったひとつの冴えたやりかた - どの分野も素人」でした。
　次の記事は　アンジオ点心さんの「ゆサDで大流行の445とは！？調べてみた！」です。

「🗓️🎨🔤🥲😆」？

　今回のタイトルです。もはや自分でもこの絵文字をAdventarのタイトル欄に書き込んだときにどういう意図で書いていたかが不明ですが、今の自分が読み解く限り、タイトルにあるように絵文字について、特にゆる言語学ラジオのサポーターコミュニティが使っているDiscord上での絵文字リアクションのあれこれについて書きたかったみたいでした。結果的に特に泣き笑いについては書いてない気もしますが、まあいいでしょう。

今回は小ネタです。

TL;DR

絵文字あれこれ
「ゆサD」にどっぷりつかると、他のSNSで絵文字リアクションできないのが辛くなるよ
独特な絵文字が多いので、少し紹介するよ
厳密ではない考証：意見よりも感情を伝えたいから、絵文字でリアクションしたいんだ。

「emoji」

　皆さんも普段スマホなどでチャットするときに使っている絵文字。調べてみると、元々は1999年ごろにDocomoのガラケー機能「iモード」で実装されたのが、始まりのようです。

絵文字の始まりは、９０年代の終わりのころです。開発したのは、当時ＮＴＴドコモに勤めていた、栗田穣崇さんでした。
～(略)
そこで思いついたのが、「逆に絵文字をもっと充実させれば、より豊かな感情表現ができて、みんな喜ぶんじゃないか」ということでした。そのころ栗田さんは、ケータイをインターネットにつなぎ、電子メールの送受信などを可能にするサービス「ｉモード」の開発をしていたのですが、そのリリースに合わせて、絵文字を導入することになります。

『世界で大ブームの絵文字　日本発の壮大な物語 - 漫画家イエナガの複雑社会を超定義 - NHK 』

　誤解を恐れながらいえば、絵文字…特にPCやスマートフォンなど電子機器で文字として扱う絵文字は、日本で生まれ、いまや世界に広がっていったものと言えるでしょう。
　元々英語圏にも「スマイルマーク」と呼ばれる文字を組み合わせて顔のようにするものはありましたが、純粋に文字として使われたのは日本が初めてと言ってよさそうです。

　その後、2009年にUnicodeという世界標準の文字コードへ組み込まれたことで、絵文字は世界基準の汎用文字となりました。「emoji」という日本語由来の単語で意味が通じるのも、日本由来で世界共通になっている証と言えるでしょう。
(英語圏では、「Emoticon」という、「Emotion」＋「Icon」から言い方もありますけど)

https://emojipedia.org/

ゆる言語野ラジオサポーターコミュニティ(ゆサD)での絵文字

　そんな絵文字ですが、ゆる言語学ラジオサポーターコミュニティ(以下、「ゆサD」or「サポコミュ」)内でもふんだんに利用されています。
　これは、サポーターコミュニティでの交流が「Discord」というチャットツールをインフラにしているからという面が大きいです。

　Discordでは、コメントの文章内に絵文字を使用するだけでなく、他の人の書き込みに対して絵文字でリアクションをつけることができる機能があります。

　サポコミュに普段参加している人は「絵文字」と聞くと、文中に使う絵文字よりもこの絵文字リアクションのほうを思い浮かべる人が多いのではないかと思います。

　さて、この絵文字リアクションをつけるという行為、メタモンな方が多い用例サポーターが集まるサポコミュと相性がとても良いです。
　自分の意見を書き込んだり、誰かのコメントに返信するにはちょっと躊躇する…という人であっても、絵文字でリアクションするのであればだいぶハードルが下がります。
　「文字の書き込みはしたことがないけど、絵文字のリアクションはしたことならある」というサポーターの方も多いのではないでしょうか。

絵文字でのリアクション

　絵文字のリアクション、という文化自体はいつ頃からできたのでしょうか。世の中にはさまざまなチャットツールが存在しますが、2013年に誕生日したSlackが絵文字によるリアクションという機能の実装としては先駆けと言えます。(厳密な考証は行っていません)

　しかも、単に標準的な絵文字をリアクションとして使えるだけでなく、利用者が独自のカスタム絵文字を用いてリアクションができます。
　それによって、それぞれのワークスペース(組織など)ごとに独自のリアクション絵文字が発達していき、それがワークスペースごとの独自性を高めているといえます。
　(一方、Microsoft Teamsさんは、ちょっと前にやっと標準絵文字を全部使えるようになってくれて嬉しい。でもカスタム絵文字作れるようにもっと頑張ってほしい。)

　Discordは、Slackよりは後発のプラットフォームですが、その分この絵文字リアクションという仕組みをうまく取り入れています。
　Discord運営側も「ユーザーは絵文字によるリアクションをしたいんだろう」と考えているフシがあります。
　Discordではそれぞれの集団を「サーバー」という単位で管理します。(ゆる言語学ラジオサポーターコミュニティも一つの「サーバー」です)
　このサーバーに対して「ブースト」という課金を行うことで、サーバー内に登録できる絵文字の上限数が上昇するという仕様になっていますが、これは言い換えれば、ユーザーからお金を取るのにふさわしい価値が絵文字リアクションにはある、と運営側が考えていることの証左になるでしょう。

Discordのサーバーをブーストする際の選択画面。レベルごとに絵文字を登録できる数(スロット)が増えていく。
なお、ゆる言語学ラジオサポーターコミュニティのDiscordはレベル３状態であり、限度ギリギリの250弱の数の絵文字が登録されている。

　他のプラットフォームだと、2022年に注目されたSNSである『Misskey.io』では、ほぼTwitter(現X)に似たインターフェースでありながら、SlackやDiscord並みの絵文字リアクション機能を有しています。(他にもMisskeyサーバーはありますが、特にioサーバーで顕著なので)
　ここでも、いわゆる「レターパックで現金送れ」「は全て詐欺です」や「(与謝野晶子の顔)」などが独自ミームの絵文字として誕生し、絵文字リアクションの機能自体が新たなミームを醸成するゆりかごになっていることが見受けられます。

　翻って、それ以外のSNSプラットフォームの多くでは、こういった絵文字によるリアクション機能は実装されていません。(2023/12/3現在)
　そのため、ゆサDに慣れ親しみすぎ、脳の一部がそちらに最適化されてしまった哀れな一部のサポーターたちは、YouTubeLiveでの配信で見かけたコメントに対して反応をしたくても、リアクションをつけられないもどかしさにヤキモキすることになります。

サポーターコミュニティ内の絵文字をちょっとだけ紹介

　実際にサポーターコミュニティ内で使われている絵文字リアクションにはどのようなものがあるか、少しだけ紹介していきましょう。(前述のとおり、サーバー内の独自絵文字だけでも250弱あるので、全部はなかなか書ききれません)

よく使われている絵文字リアクション

　まず、絵文字リアクションはどれくらいの頻度・回数で使われているのか、少し数字を見てみましょう。
　サーバー内の絵文字の統計データから、直近１ヶ月間の利用統計を確認してみます。
　利用回数の上位４絵文字を抜粋すると、下記のとおりです。

1位「草」　( 21,000回/月 )
　説明不要かもしれませんが、「笑う」の意味です。ネットスラング由来で、いわゆる若者言葉としても認知されている言葉が、もっともよく使われるリアクションとなっています。サポコミュ住民は何かというとすぐボケようとする傾向にあるので、ふざけた書き込みに対してよく使われています。なお、”知的”にふざけているかどうかは諸説あります。
2位「いいね」 ( 12,000回/月 )
　こちらもほぼみたままの意味ですね。書き込みの内容などに対して純粋な賛同を表します。また、Twitter(現X)やFacebookなどで以前からある「いいね❤️」「いいね👍」と同じように、「このコメントを見ました。何かしらの感情は想起されたけど、言語化したりするほど深掘りはしてないけど何か反応しておきます」くらいの意味でも押されている印象です。とにかく使い勝手がいいと言えます。
3位「フゥ～〜！！」 ( 11,000回/月 )

　こちらは少し説明がいるかもしれません。
　まず、意味としては感嘆詞的用法で「フゥ〜！」と歓声を上げていることを表します。公式側から嬉しいアナウンスがあったときにも使われますし、誰かのノロケ話であったり、何かハードルの高いことをやりきったみたいな話に対して、ノリよく歓呼の声を上げるために使われます。
　この絵文字は、この4位までの絵文字の中では唯一、ゆる言の公式関係者発祥のミームが由来となっています。
　誰由来かというと…

　VALUE BOOKSの狂気の担当者こと飯田さんです。

　2022年末の大忘年会に向けて、VALUE BOOKSとのコラボグッズを作成するスレッドでのこと。堀元さんが「VALUE BOOKSの担当者」にグッズ案を最初に提示したときの返信が元になっています。

4位「わかる」 ( 9,800回/月 )

　4位は「わかる」です。
　意味としては、インターネット上で利用される用法での理解でいいかと思います。字義どおりに「理解した」ということではなく、
「あなたの意見に対して私は同じもしくは似たような見解を有しておりあなたが書き込んだ内容に対して心からの同意賛意を表したいし私が書き込むよりも前にそのことを表明してくれてありがとうという嬉しさまであり(略」
を0.5秒の間に感じるような、そんな感情を表す絵文字だといえるでしょう。

　ちなみに、サポコミュのDiscordサーバーでは誰でも絵文字を登録できる運用となっており、今ある絵文字もさまざまな人が作って登録しています。
　そんな中、この「わかる」絵文字は数少ない堀元さん自身が作った絵文字でもあります。

絵文字一覧で見る作成者欄。リストの一番下に存在しており、サーバー作成後に3つだけは堀元さんが作った形跡がうかがえる。
なお、あとの2つについては本記事では紹介していないので、気になる方はサポーターコミュニティ参加後にご自分の目で確かめてみてほしい。

ゆる言語学ラジオ公式関連のミーム

　続いては、ゆる言語学ラジオ/ゆるコンピュータ本編に出てきた内容が元になっている絵文字たちを紹介していきましょう。

　トキントキン

水野さんが使う~~標準語~~名古屋弁(尾張弁)から。元々は「鉛筆の先がときんときんに尖っている」のように物理的に尖っていることを表す言葉ですが、サポコミュ内では意見の内容が誰かを刺さんばかりにトガっているときにこの絵文字がつけられがちです。

　ホントだー

　よく本編内で堀元さんが叫んでる一言から。誰かが意外な観点からツッコミする内容を書いたりするとコレで反応されがちです。

　過言

　過言なときに使います。人から押される場合もあれば、自分でボケて自分でツッコむときにも利用できます。

　ホッケはアジ

　『「アジ」の語源は「味が良いから」』というあんまりな理屈に対して、堀元さんが「それならほっけもアジやろ」とツッコんだのが由来。
　アジが良いものの画像などに貼られたりする。
　(あと、なぜかアンケートを取る際に、質問者が用意した選択肢意外を意味する意味で押されたりもする謎の用法がある。なんなら、今や特に意味もなく押されたりもするので、もはや情報量がないリアクションになっている。)

　Value Books

　またもVALUE BOOKSネタ。飯田さんやVALUE BOOKS関連の話題に押されますが、この絵文字の秀逸なところは、ちゃんと2つの絵文字に分かれていることです。そう、「VALUE」と「 BOOKS」の間に任意のスタンプを挟むことで、本編の『「通常会話にVALUE」「 BOOKS」を挟んでいく』ネタが再現できるんです。

　サーフシャーク

　コレは独自絵文字ではなく、標準絵文字の「🏄‍♂️🦈」で表されます。狂気のスポンサーNo.1、「大泉洋を産地偽装するサービス」でおなじみのSurfShark社。なにげにゆる言/ゆるコンを通して初の案件動画のスポンサーです。

　プーミポン国王

　コレが公式ミーム？という方もいるかもしれないですね。出典を貼っておきます。2021年末の忘年会ライブが元です。

　チュラローンコーン大学の卒業式でプーミポン国王がスピーチで述べたと言われる言葉「仏像の背中に金箔を貼る」("ปิดทองหลังพระ")を水野さんが~~むりやり入れ込んでいる~~紹介しているシーン。「隠れたところで善行を積む」というような意味らしいです。
　なおラーマ9世(プーミポン国王)は在位中は国民から人気のある国王であり、大変な親日家で知られています。ランニングしているときにオニツカタイガーを履いていたらタイで流行になったくらいには影響力のただいなお方とのことで、仮にこのライブでこの後イジっていても笑って許してくださ…るはず。

　せっかくなので、この言葉の元になった、プーミポン国王が実際に話された内容も載せておきますね。

การทำความดี
"การปิดทองหลังพระนั้น เมื่อถึงคราวจำเป็นก็ต้องปิด ว่าที่จริงแล้วคนโดยมาก ไม่ค่อยชอบปิดทองหลังพระกันนัก เพราะนึกว่าไม่มีใครเห็น แต่ถ้าทุกคนพากันปิดทองแต่ข้างหน้า ไม่มีใครปิดทองหลังพระเลย พระจะเป็นพระที่งามบริบูรณ์ไม่ได้"
พระบรมราโชวาทของพระบาทสมเด็จพระเจ้าอยู่หัว ในพิธีพระราชทานปริญญาบัตรของจุฬาลงกรณ์มหาวิทยาลัย
25 กรกฎาคม 2506

(日本語訳)
【善行を積む】
「仏像の背中に金箔を貼ること。必要であれば、それは貼らなければならない。実際、ほとんどの人は仏像の背中に金箔を貼ることはあまり好きではない。それを誰も見ていないと思うからだ。でも、もしみんなが仏像の前にばかり金箔を貼るなら、誰も仏像の後ろに金箔を貼らないのだ。(それだけでは)仏像は完全に美しい仏像にはなれないのだ。」
チュラロンコン大学卒業式における国王陛下のお言葉
1963年7月25日
(機械翻訳+筆者調整)

『ในหลวง ร.9 : 9 พระบรมราโชวาทและพระราชดำรัสที่ประดับไว้ในใจไทย』
(『ラーマ9世国王陛下：タイ人の心に刻まれた9つの王室のアドバイスと王室のスピーチ。』)
https://www.bbc.com/thai/thailand-45848275

まとめ：厳密に検証していない仮説

　簡単に(?)絵文字の内容を紹介してきました。まだまだ書きたいネタはたくさんありますが、ひとまずこのくらいで。

　前段で、「Discord以外のプラットフォームでは絵文字リアクションができなくてヤキモキする」現象について紹介しました。
　X(旧Twitter)での誰かのポスト(ツイート)、YouTubeのコメント欄、LINE(オープンチャット)のゆる言チャットでのやりとりのときなど、様々な場面でこの病気は発症します。

仮説：言葉よりも感情を

　ではなぜ、こんなにも絵文字によるリアクションは使いやすく、一度知ると他でも欲しくなるくらいに私たちに馴染むのでしょうか。

　一つの仮説として、「わたしたちは、誰かが言ったことに対して、意見ではなくて、自分の感情をぶつけたい性質がある」からではないか、と考えます。
　誰かの意見に対して、笑いなり興味なり、疑念なりツッコミなり。我々がまず頭の中で想起するリアクションは、何らかの言語化された言葉よりも感情そのもののほうが先にくるでしょう。
　実際に対面で会話しているのであれば、身振り手振りや表情などで感情を相手に伝える手段は色々ありますが、テキストチャットが基本のインターネット上の交流においては、基本的に自分の感情を相手に伝えようとすれば、言葉という扱うのが大変な伝送媒体に感情をのせて、わざわざ返信の形で書き込まないと実現できません。
　それに対して、絵文字によるリアクションをつけるだけであれば、笑ってしまえば「草」を、疑念があれば「ホントに？」を、歓喜したのであれば「フゥ〜〜！！」と、サクッと絵文字でリアクションすることで、素早く簡単に感情を相手に提示することができます。

　言葉ではない、新たなコミュニケーションの形として。絵文字によるリアクションは、ともすると固くなりがちなテキスト中心のコミュニケーションを、楽しいものにしてくれる重要な要素を担っています。　
　直接的な意見の提示ではない、間接的に・お手軽に・たくさんの感情を伝えることができる絵文字リアクションが、このコミュニティでのやり取りをより心地よくしているのではないでしょうか。

ぜひご参加を！

　ここまで読んでいただいてありがとうございます。もし少しでもサポーターコミュニティに興味がわいたようであれば、ぜひ参加してみてください。
　そのときには、喜んで　Welcome! の絵文字リアクションでお迎えしたいと思います。

ご参加はこちらからどうぞ！　
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