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ヒッチレース2024

拉致&解放


去年はレーサーとして出場したヒッチレースですが、今年はドライバーとして参加することになりました。
始まる前から「お前の車には乗りたくない」(友人K談・友人M談・後輩Y談)と、人々を戦々恐々させていましたが、果たして――――。


5月24日の24時。吉田寮祭の開始と共に吉田寮食堂に集まった総勢40名のヒッチレーサーたち。彼らの顔はこれから待ち受ける冒険に対するワクワクとちょっとの不安でキラキラと輝いていました。

くじ引きの結果、私の車に乗ることになったのは
・阪大2回生の男の子Fくん(ヒッチ初参加)
・阪大6回生のお姉さんMさん(ヒッチ2回目)

ちょっと緊張気味の2人に、「私の車、一番ヤバいとこに連れてくよ〜(笑)」と、冗談を飛ばすと(私にとっては冗談のつもりだったんですよ…?)、男の子に、「貴方の車は絶対ヤバいって友達からLINEで聞きました」と真顔で返され、私も真顔になりました。ごめんなさい。


最初のくじ引きに参加出来なかったレーサーの一人が私の車に乗りたいと志願してくれ、
・京大OPのSさん(ヒッチn回目)
も私の車に乗ることに。
彼女には日頃からお世話になっており、恩返しのつもりで本気で遠いとこに飛ばすことを決意。「一切手加減しませんからね」と啖呵を切って目隠しを付けました。


参加者3人にヒッチのあれこれ説明してたら、我が母校・須磨学園の後輩Yが「帽子を貸してくれませんか」と頼みにきました。
可愛い後輩に帽子を渡すシャンクスの気持ちになりました。大きくなって帰ってこいよ。
あとからヒッチレース座談会で彼女の話を聞いていると、このヒッチを通して一回り大きくなっており、優しい先輩としては目を細めるばかりです。


レーサー3人に目隠しして車に乗せていざ出発。
山口県の下松PAまでノンストップで爆走。3.5時間くらい。
私の運転体力が切れる前にガソリンが切れました。燃費に悪い運転をしてたものね、ごめんね。ハイブリッドヤリスで燃費15.2km/Lの表示を見たときは二度見したよね。帰り道はこの倍になってました。


下松PAで一旦ドライバー交代、仮眠をとって気づいたら宮崎県にいました。

1人目・FくんはえびのICを降りて山道を進んだ後、陸上自衛隊霧島演習場で解放。
降ろしたときの絶望に満ちた表情は忘れられません。そりゃそう、周りには牛舎しか無いんだもの。
ところがこのFくん、落としてから19時間足らずで帰京しているんです。凄すぎる。
ドライバーの反省点としては、ICの近くに降ろしすぎたことですね。いくら山の中とは言え、高速に乗る車はそれなりにいるんだろうな、と。


2人目はMさん。行きの車内で「とにかく遠いところに飛ばされたいです!離島とかも1回やってみたいなあ」と、目をキラキラさせていたので、リクエストにお答えして下甑島(しもこしきじま)に吹っ飛ばすことにしました。

下甑島、ここ(赤ピン刺📍)です。地図で見るとかなり大きいのに、みんなここに島があるの忘れてるんじゃないかな?面積の割に存在感の無い島だよね。


10時過ぎにフェリーが出ている串木野港に到着し、フェリー券だけ渡してお別れ。
フェリーは11時過ぎの出港で14時手前に下甑島に到着した模様。
Mさんは財布もスマホも持って行かないガチ勢(Twitterで実況するためにスマホは持っていく人が多い)だったため、座談会でやっと話を聞くことができましたが、かなりエンジョイして帰ってきたようで、落とした側としても大満足。下甑島のスナックで半袖半パンで接客したり、福岡で友人と酒を飲んだり。吉田寮に帰寮する前に実家に帰省して一日過ごしたというんだから、なんかもう普通の旅行です。とはいえすべての交通手段をヒッチハイクでまかなってるの、素晴らしいの一言に尽きますね。”見たかった”ヒッチレースをしてくれました。
ちなみに彼女は記事をnoteで公開しているのでそちらも是非ご一読ください。一緒に旅してる気分になってワクワクしますよ。


最後に残ったのは志願兵のSさん。
実はヒッチレース開始前から私の車に乗りたいと言ってくれており、実力で私の車に乗り込んできた猛者です。
車内では「毎年結構近くに飛ばされるからとりあえず遠くに飛ばされたい」「一番最後に降ろしてほしい」と言っていたので、これまたリクエストにお答えすることにしました。


串木野港(鹿児島県の西端)から目指すは大隅半島。
ヒッチレースの内規で「出来るだけ午前中に参加者を落とすように」というものがあるのですが、串木野港出発時点で時計の針が11時に近づいていました。
このままではかなり制限時間をオーバーしてしまうので大慌てで大隅半島を目指す――――と、悲劇が――――――――――――。

追い越し車線を1○○km/hで巡航していたところ、後ろから赤色灯を焚いた白クラウンがパッシングしながら近づいてくるではありませんか!!!!
これは――――

覆面パトカーだ!!!!


人生で初めて違反切符を切られました。

「こんにちは~鹿児島県警です」

この一言で、今までどこを走ってるかバレないように、目隠しをしてトイレも手を引いて引率し、ナビの音声を切り、会話にも気を配っていた努力が水泡に帰しました。
まあ最後の参加者だけだったのでよかった…と言えばよかった…。被害は少ないですからね。


鹿児島県警さん「お兄さん、自分が何キロ出てたか自覚ある?」

私「ひゃく…にじゅう…ご…くらい…ですかね…(ほんとはもっと出てた気もするけど…)」

鹿児島県警さん「ここの道路ね、70キロ制限なの〜。何キロオーバーしたら一発免停なるか知ってる?」

私「よん…じゅう…」

鹿児島県警さん「そう。ここ高速道路やからね〜。鹿児島の道路は80キロ以上出していいところはないんよ〜。」

私「はい…」

鹿児島県警さん「お兄さんの車ね、後ろから速度測ってたんやけど、一番速度が安定したのが109km/h」


109km/h!?!?!?!?!?


耐えた?耐えた!?耐えたーーーーッッ!!!


私「と、いうことは…?」

鹿児島県警さん「39km/hオーバーやね。」

私「と、いうことは…?」

鹿児島県警さん「セーフ。違反点数の3点は3ヶ月したらリセットされるからね。はい、これで反則金払ってね」
という訳で青切符を受け取り、安心安全な速度で佐多岬を目指しました。


安心安全な速度で走ったせいで、Sさんを降ろしたのは15時手前。ほんとに申し訳ないことをしました。
お詫びにお昼ご飯と追加の水分を奢って本土最南端・佐多岬でバイバイ。

ほんとは平等大慧会の涅槃城で降ろしたかったんですよ。私は新興宗教オタクなので!!!
ところが現在休館中(実際復旧する見込みはないでしょう、ぶっちゃけ打ち捨てられています)で、超の付くほどの山奥。これは車も通らないし、車通りのある道まで出るのに時間もかかる、ということで手心を加えて佐多岬を選択しました。

帰路


佐多岬で最後のヒッチレーサーを解放して給油して自分たちも休憩。
本土最南端のA-coopとか道の駅(根占)を踏んで面白そうなものを物色しました。
その後は同乗者の伝手を頼って垂水(たるみず)のサツマイモ農家さんのもとへお邪魔することになりました。
16時頃に着くと丁度植え付けの真っ最中でお手伝いをすることに。
初めてサツマイモの植え付けを体験しましたが、苗を土に細い竹棒でスッと挿し込んでいくのは何とも表現しがたい爽快感がありますね。
若者が2人加勢するとすぐに終わるのでよいですね。

作業が終わると、道の駅垂水に併設されている温泉に連れて行ってもらいました。農作業でかいた汗を風呂で洗い流す、至福のひと時です。第一次産業系は風呂がいいですよね。

温泉から家までの帰り道にホタルの名所があるとのことで少し寄り道。
暗闇に目が慣れてくると、そこには無数の飛び交うホタルが…!
川のせせらぎ、真っ暗な森、その中を静かに漂う点滅光。普段なかなか目にすることのない幻想的な光景でした。

家に帰ると奥さんが料理を作って待ってくれていました。
特大ジャガイモのポテトフライに、ナスや大名竹の天ぷら、フライドチキンに大名竹の煮物、それにビール。
こういう家庭料理が一番美味しいしありがたいんです。
しかし面白いのが、私も同行者も別に酒に弱い方ではないのに、ビール2缶で普通にダウンしたことですね。
疲労の際に飲むとアルコールはすぐに回りますね。

ここまで吉田寮祭ヒッチレース開始からわずか21時間程度の話です。


一晩明けて次の日は昨日に引き続きサツマイモの植え付けから始まりました。午前中で終わらせてお昼ご飯を頂いてお暇することに。
最後は紅茶やジャガイモ、冷凍の焼き芋を持たせてくれました。

この農家さんの家は電波が入りません。完全なる圏外です。畑は電波が入るのですが…。そのため、その農家さんと連絡をとるには農家さんが畑にいるときだけという縛りがついていたそうです。面白い。逆(家は圏内、畑は圏外)なら経験あるのですが、初めてのパターンでした。

そういえばここでも女児モテを発揮しました。到着すぐ、農家さんのお孫さんがずっと私のところから離れず、ずっとおしゃべりしながらサツマイモの植え付けをしていました。
なんでまたこんなにモテるんでしょうかね。本当に不思議です。まとっているオーラか何かでしょうか。

先にお手伝いに来ていた京大の院生を車に乗せて3人で帰路につきます。
桜島で桜島レインボー温泉に入りここで院生とはお別れ。
道の駅で地元牛乳と鳥刺しを購入して頂きます。
個人的な振り返りですが、これにより5月は牛・豚・鶏の主要家畜を生食したことになりますね。牛はフランス(タルタルステーキ)豚はドイツ(メット)鶏は鹿児島。

桜島国際火山砂防センターを見学しました。
その後は志布志市志布志町志布志の志布志市役所本庁・志布志支所へ。一度は行ってみたかったところですね。
そのまま都城まで北上し、宮崎県名物チキン南蛮を食べました。

さて、今宵の宿ですが、今年のヒッチレース九州勢が皆日本三大秘境の一つに数えられる椎葉村を踏んでいたので、我々もそれに倣うことに。
椎葉村で車中泊。雨が降りしきる夜でした。

朝仙人の棚田を見学して、また北上。
目指すは福岡、祖母の家です。
祖母の家についてちょっとお手伝いをして炬燵に刺さっているといつの間にか睡魔が…。

祖母に別れを告げて関門海峡を渡るとそこには山岡家長府店が!!
長距離運転の疲労からか山岡家のギトギト脂に車がスリップして入店してしまいました。ここで我々も給油して、山口県・湯田温泉を目指します。

山口県・湯田温泉の周りは山口大学の牙城です。
かなり町の年齢層が若い!そして山口大生を狙った借家案内がいっぱいあります。

我々が目指したのは湯田温泉のある旅館で夜な夜な繰り広げられるという怪しげな「女将劇場」。「月曜から夜ふかし」にも取り上げられたこともある由緒正しき珍スポットです。
さて、20時45分に女将劇場が開演すると怪しげな女将が早速登場。
御年80とのことですが、その年を感じさせない動きたるや…本当にすごい。
SL太鼓やら髪に墨汁浸して習字始めるやら奇術やらいきなり脱ぎ始めるやら…。
”客を楽しませる”その一点に心血を注ぐところが”芸能”の真髄だなと感じますね。その技の技巧については問題ではない。
山口大生向けにバイト募集があるそうで、アルバイトの山口大生もショーに出演していました。なんで舞台に立つと人ってあんなにキラキラ輝くんだろうな。来世山口大生になることあらば、ここでバイトしよ~って決意。

夜は久手駅で駅寝(私は車中泊)です。

翌朝は低気圧&大雨に追われながら一路京都を目指して中国をひた走ります。
これは余談なのですが、この前同行ドライバーと弾丸で広島にお好み焼きを食べに行ったとき(お好み焼きを食べるためだけに高速道路を飛ばして往復した回があったのです)も我々は低気圧に追いかけられながら帰京したのでした。

北海道へ

15時過ぎに帰京して京都大学アヒル同好会様からアヒルを頂き、そのまま荷物&人を乗っけて福井県敦賀港を目指しました。
アヒルの臭気にやられて同行ドライバーが死んでました。
ちなみにこの記事執筆時点で、あれから一ヶ月成長したアヒルは全然臭くないので、あの臭いはある種の乳臭さだったんだなあ、と回顧しています。

夜、敦賀港に着いてそこで皆とはお別れ。
新天地(?)利尻島へ向けて出港しました――。

北海道に着いてからはアヒルと同衾したりヒッチレース座談会を車の中で聞いたり。
座談会では私が乗せた参加者全員マイクを握ってくれたので、どういうヒッチを行ったのか聞くことができてドライバー冥利に尽きます。皆楽しそうなヒッチをしていて本当によかった。

そして最後、北海道の利尻島で鹿児島で切られた違反切符の反則金35,000円を納めて私の2024年ヒッチレースは終了です。




あとがきに替えて

今、私は北海道で暮らしています。
次に関西に戻るのは10月です。
秋以降、お隣、大阪大学でヒッチレース企画が始動するという噂が聞こえています…。それも私が今回飛ばした参加者が主導となって開催するようで、かなり嬉しいです。
阪大ヒッチの企画にも参戦しますよ〜!!


今年もヒッチレースが幕を閉じました。
来年はどんなドラマが生まれるのでしょうか。
そして来年の私はどうやってヒッチに参戦するのか…!?
もう一度ドライバーになるのか?再び参加者に戻るのか?
それはまだ神のみぞ知る、ということでアディオス!





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