アガサ・クリスティーについて思うところ・日本映像化編

 20世紀には日本でのクリスティー作品の映像化はほとんど記憶に無いのですが、21世紀に入って多く作られるようになりました。
 その第1弾といえるのが意外にもアニメ。2004年にNHKで制作された「アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル」。「マープルの甥の娘」という設定のメイプルというオリジナルキャラを登場させ、彼女を「ポワロの世界」「マープルの世界」を行き来させることにより両シリーズの作品を交互にアニメ化してくれました。キャストもポワロ役が里見浩太郎さん、マープル役が八千草薫さんと大御所を起用。ゲストキャラの声優も世間一般に知名度の高いタレントが多かった印象です。
 続いて2005年に「ABC殺人事件」と「ゴルフ場殺人事件」がNHKでドラマ化。ポワロに当たる探偵役は伊東四朗さんが演じてましたが、無理にポワロのキャラに寄せて無かったものの、どことなくユーモラスなキャラはポワロに近いものを感じました。しかし、いきなりの映像化が地名が事件のカギになる「ABC殺人事件」とは、よくこの作品を日本で映像化したものだと思います。
 この2作品が映像化されてすぐ、今度は「パティントン発4時50分」「鏡は横にひび割れて」「予告殺人」のマープル物3作が立て続けに日テレ系でドラマ化。この3作は「火曜サスペンス劇場」枠だとばかり思ってたのですが、ウィキを見るとこの頃はもう別の呼称になったたんですね。マープルに当たる探偵役は岸恵子さんが演じましたが、岸さんでは若々しすぎてマープルにイメージする「お婆ちゃん感」が無くてキャラがちょっと違ってた印象です。
 2010年代に入ると、フジテレビ系で「オリエント急行の殺人」「アクロイド殺し」「死との約束」のポワロ物3作、テレビ朝日系で「そして誰もいなくなった」と「パティントン~」「鏡は~」「予告殺人」のマープル物3作がドラマ化。
 フジテレビの作品でポワロ役は野村萬斎さんが演じましたが、意識的なオーバーアクトは賛否両論あると思います。「オリエント急行~」は2部構成でしたが、後編(犯人視点のストーリー)がギャグ仕立てだったのが個人的に違和感。「アクロイド殺し」はスーシェ版同様、やはり「あのトリック」は映像で表現するのは難しかった感があります。
 「そして誰もいなくなった」は原作にない謎解きパートがあったのはこれまた賛否両論あると思いますが、原作の緊迫感、恐怖感というのは再現できてたと思います。「パティントン~」ではマーブル役を演じたのは天海祐希さんでしたが、これまた確信犯のキャストでしょうが↑の岸恵子さん以上に若すぎ(笑)。「鏡は~」「予告殺人」ではマープルのポジションを「そして~」に登場したオリジナルキャラの沢村一樹さんが演じましたが、さすがにこれは違和感。こういうキャスティングを見ると、やはり「お婆さんが主役のドラマは無理」ということでしょうか?また、ここでドラマ化されたマープル作品は以前日テレ系でドラマ化されて作品と全く同じなんですが、これは権利元が同じとかなのかずっと疑問に思ってます。
 

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