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多彩な見え方は多彩な身体活動を生む

「真っ白な一本のテープ」が床に貼られているところを想像してみて。

ある人は、そのテープを横から見て「ここがスタートラインだ」と言う。
ある人は、そのテープを縦から見て「これを端まで渡っていくのは難しい」と言う。
ある人は、そのテープのそばに深くしゃがみ「邪魔だ」と言ってテープを剥がそうとする。
ある人は、そのテープにすら気が付かない。


床に引かれた一本のテープが、縦に見えるのか、横に見えるのか、細く見えるのか、長く見えるのか、ただの模様に見えるのか、はたまた何も無いように見えるのか。

私たちは見たものを無意識に処理し、選択している。
そしてそれはほとんど、「誰か」から教えられた見え方の中から、自分にとって都合のいい見え方を無意識に選んでいる。

「誰か」とは、誰のことか?

ビジネス書やセミナーの講師?
会社の上司?
友人?
両親?

恐らくその全てだろう。

大人は、誰から学ぶかを自分で選択することができるので、学ぶ意欲があれば多様な見え方を知ることができる。
注意したいのは、親が子どもに教えるとき。

子どもの成長に欠かすことのできない「遊び」のなかで、たったひとつの方法(見え方)だけを教えていないか注意したい。
例えば、積み木は「重ねるもの」、ボールは「投げるもの」といった具合に。

親が子どもと遊ぶときは、できるだけ色々な遊び方を見せるようにしたい。

ボールなら、叩く、挟む、転がす、腹で乗る、背中で乗る、枕にする、座る、座って跳ねる、持ち上げる、運ぶ、両手で投げる、片手で投げる、蹴るなどの多彩な使い方ができる。

この中からたったひとつの使い方(見え方)しか教えていないと、子どもの創造性は制限されてしまう。

子どもは親の背中を見て学ぶ。親がやっていることを真似して成長する。
親がやらないことはやるようにならない。

「〇〇して」って口だけで言うより、見本を見せる方が子どもの成長は速い。そして、見本は多彩な方がいい。

言葉で教えなくても、ただ親が色々なことを自らやっている環境をつくることが大切。

多彩な見え方は多彩な思考を生み、多彩な思考は多彩な身体活動を生む。

親が動けば、子どもも動く。
親が動かなければ、子どもも動かない。
子どもの運動不足は親の運動不足を表しているのかもしれない。

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