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営業担当替えて、と言われた〜クレームを直接受けることの有り難さ

6年間営業をやってきて、一度だけ「担当替えて」と言われたことがある。

それも、お客様ご本人から、目の前で。

営業4年目、8人チームの営業リーダーをしながら、エリアトップの担当件数と売上を抱えていた。

「ギガプランがおすすめです」

オープン情報を得て訪問し、工事中に商談の機会をいただいた。相手は社長で、商談は30分、1回きり。

いちばん高い商品をプレゼンした。スマホでいうなら、「使い放題ギガプラン」みたいなやつだ。

私はこのギガプランみたいなものを提案されたことはない。携帯ショップで働いたことはないけれど、おそらく私のスマホ利用実績からは、そこまでのプランが必要ないと判断されているのだろう。

仮に、初めてスマホを申し込むとして、初っ端からギガプランを提示されたら、どうだろうか。

高っ!!!!

多分、こうなる。

が、自分の使い道を丁寧にヒアリングされた上で、ギガプランが提示され、その理由(他のプランよりも○○が○○だからとか)に納得できたら、

じゃ、それにしようかな?

もしくは、コスト相場を知って、使い道を検討し直すかもしれない。いずれにせよ、かけるコストに対して効果は見合うのか?が判断のポイントになる。(だから、安い商品をこちらが勝手に勧めるのは、営業としてはイケテてない、という話はまた別の時に)

このエリアで、この時期に、社長が求める理想像を実現するには、ギガプランで勝負することが最適だと確信があった。

その場でGOサインが出て、申し込みをいただいた。

「役に立っている」と思っていた

社内で受注の報告をしたとき、

え、まさか、あそこで、ギガプランを?

という声があった。
確かに、エリアの平均や過去の実績だけで見るなら、ギガプランの提案は、too much だったのかもしれない。

でも、ギガプランでしか出来ないことを実現に移すことでしか、先方の希望は叶えられないし、必ずや成果を出せる自信もあった。

結果は、
オープン前から予約の電話が鳴り、わたしの予想をはるかに超えて、順調に売上を伸ばしていた。

これは、ギガプランだから成し得たことだ、という確信があったし、何より、この成果を、クライアントも喜んでくれていると思っていた。

「担当を替えて欲しい」

理由は、思ってもみなかったことだった。

あなたは忙しすぎて、うちに毎月30分しか来てくれない
たしかに、お客様はたくさん来てくれているけれど、
僕は、もっとうちのことを一緒に話したりできる人に担当してほしいんです。

新人でもいいから、時間のある人にお願いしたい。

わたしの仕事は、
クライアントのやりたいことを一緒に考えて、欲しい集客を実現する=来店されたお客様にも満足していただくことだと思っていた。

このクライアントは、集客を「成功」させていた。

だから、時間をたくさん割けないことへ、少しの申し訳なさはあっても、相手が不満に思うレベルとは、全く思っていなかった。

結局「役立たず」になった

商談相手は社長で、その想いは「新業態を成功させること」つまり、この店舗でキャッシュを生みだすこと。

でも、現場を任されている店長は、そのスピードについて行けていなかったこと、一方で、もう少し自分のペースでやっていきたい、という想いがあった。

それを汲み取れなかったのは、担当として致命的なミスだった。

店長の切実な要望を受けて、わたしは担当をはずれた。後任は、わたしがリーダーをしていたチームに入ったばかりの男の子。慣れるまでの同行も、断られた。

当初数ヶ月は、ギガプランのまま同じ取り組みをしていたが、いつしか、プランを縮小し、集客人数を一桁減らし、1年経つ頃にお店を閉じた。

犯人は、私だ。

直接クレームを受ける、という有り難さ

人は、誰かに対して嫌な思いがあった時、なかなかそれを本人に直接言うことは少ない。それは、逆に、わたしが誰かに嫌な思いをさせていても、指摘されにくいということ。

店長は、わたしに直接それを伝えてくれた。

結果オーライ、とは全く言えない結果を招いたけれど、わたしにとっては、得難い経験となった。

営業として、クライアントの経営パートナーとして、失格。それを教えてくれた出来事。

皆さんからのサポートは、子どもたちと新しい体験をしたり、新たな学びのために使わせていただきます。