飛び込み営業で「行く先がないんです」
26歳で営業に転職して、人生初の飛び込み営業を始めた。訪問先は、個人宅ではなく企業、その多くが自営だった。
初日の出来事から、毎日30件は訪問することにしていた。週でのべ150件、月で600件。
話を聞いてくださるところ
毎回嫌がられて追い返されるところ
お茶を出して座らせてくれるけれど、いつも世間話を聞くだけになってしまうところ。
行くところがない!
数ヶ月経ち、正直「もう行くところがない」と思った。
毎日毎日毎日。
訪問した数
アポイントが取れた数
商談した数
それらの打率。
完全に数でしか捉えられなくなっていた。
そこには相手の生活とか顔とかあるはずなのにどこにもなかった。
「営業だから売るのは当然
だけど、やってください、って営業は絶対だめ
どうやったら相手の問題意識に対してサポートできるか
それを提供しない限り売れないよ」
先輩にはそう言われた。
でも、でも。
打率0.5%
サポートする話までさせてもらえたのなんて、今月600件訪問して3件くらいだった。もちろんこれは、受注率とイコールでもない。
自分が前職(いまの仕事から見て、クライアント側)だったときに感じていたこと、この仕事を始めたときに思っていたこと、そんなもの全てどこかに吹き飛んでいたんだと思う。
課題のないクライアントはもういない?
ある時先輩に何気なく「どうよ最近?」と声をかけられた。「え、もう訪問先がないです」とうっかり答えてしまう。(その時は本気でそう思っていた)
そうか…
じゃあこのエリアはもう全ての企業がサービスを使っていて、この課題に悩んでいるクライアントはいないってことだね。
…またも、脳天を殴られた感覚になる。
入社3ヶ月目のこと。
ものすごく恥ずかしかった。
先々月も先月も、打率0.5%(0.5割ですらない)、勝率0%のわたしの口座には給与が振り込まれていた。いや、その先輩が振り込んでるわけじゃないけども、私がここにいる意味ってなんだ??
エリアを回るってなんだ。
散歩か?火の用心パトロールか?
このままでいい?わけがない!
自分は営業だから、とクライアントを「訪問件数」とか「自分の売上」で捉えていた。恥ずかしすぎて思い出せないけど多分。
クライアントは【人】であって、自分の【数字】じゃない。
行き先がないと思った裏側には、
「相手からも来てほしいと思われていない」ことを感じている自分がいた。
けれど、まだ私たちのサービスを活用していない企業の方が多い、つまり、まだまだ、私たちが介在価値を発揮できていない、このエリアで私たちが役に立っていない企業が、たくさんあるのだということに気付く。
相手から「来てほしい」と思われるって難しい
人と人とのコミュニケーションだから、相手が、わたしという存在に、わたしを介した○○という商品やサービスに、何か興味を持ってくれなければ、「来てほしい」どころか「来ないでほしい」と思われても仕方がない。
わたしは、あろうことか、毎日の散歩?火の用心パトロール?で、そんな「来ないでほしい」を量産していたのではなかったか??
やれることを、やろう
自分が毎日30件訪問している「意味」を見いだそう。
その30件で出会った人に、自分にしか伝えられない情報をきちんと渡そう。
自分にしか伝えられない情報って?
毎日街を歩いて、誰かと話して、聞いたり見たりして感じたことそのもの。中にいる人が手に取れないけど欲しいと思っているもの。
そう思ったら、あの人の顔もあの人の口癖もいろいろ思い出されてきて、エリア中行かなくてはいけないところだらけになった。大忙し!
※商品サービスを特定しないため、一部の表現を変更しています。
皆さんからのサポートは、子どもたちと新しい体験をしたり、新たな学びのために使わせていただきます。