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その他の考察・コラム

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#民俗学

七夕とオシラサマのおはなし。 おまけで河童のおはなし。③

オシラサマ  「動物の皮」で思い出されるのが、東北の民間信仰に連なる遠野の「オシラサマ」伝説です。オシラサマに関する習俗は東北各地でいろいろと異なるのですが、この有名な伝承では、馬と娘との悲恋から養蚕業の起源へとエピソードが繋がっていきます。  このオシラサマ伝説も先述の七夕と同様、実は中国に元ネタがあり、元のお話でも同じように馬と娘の結婚譚(馬の娘に対する一方的な愛情とも…)から養蚕業の発祥へと話が続いていきます。娘が馬の皮に包まれ空へと飛び去り、その後に馬の皮の中で蚕とな

七夕とオシラサマのおはなし。 おまけで河童のおはなし。②

 ところで「ひょうたん」はどうなったの? ……と、実はこの杓子、元々はひょうたんから作られていたのです。  ひょうたんをタテに割ると、細長い首の部分が柄となり下の膨れた胴の部分で水をすくう、あの杓子の形になります。プラスチックや3Dプリンターなど存在しない時代の話ですので、もし木をえぐってくぼみをつけ、おたまの形を作ろうと思ったら、相当の労力と洗練された道具が必要になってしまいます(繊細な加工が可能な鉄の刃物が人類史に登場するのはせいぜい三千年前くらいです)。ひょうたんのあの

七夕とオシラサマのおはなし。 おまけで河童のおはなし。①

はじめに  今なお広く親しまれている夏の風習のひとつに「七夕」があります。天上の世界では彦星と織姫が一年に一夜だけの逢瀬を待ち、地上では願いびとが想いを短冊に書きその成就を祈ります。人々は七夕の夜が晴れることを願いますが、もし雨が降れば川が増水して天界の恋人たちは次の年を待たなくてはならないのです。得てして七月は梅雨の季節、一年に一度のチャンスが雨で流れる事も少なくありません。なんでまたこんな時季に……と首を傾げてしまいますが、その裏には日本人と水との深い関わりがあるのかもし