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本と自然がある日常

今日がNoteでの初めての投稿、ワクワクする。

夫が34年ぶりに新しい会社に転職した。所属は営業情報室。本人は米国CIAみたいな仕事と言っているのだが、とにかく新規事業につながりそうな情報を集めるらしい。

普段ならビジネスや経済のことは無頓着な私だが、夫の34年ぶりの転職を応援すべく、情報の海へサーフィンに出かけた。今日はそこで出会った「メタバース」の世界について紹介したい(以下の内容は、韓国語の本「メタバース:新たな機会」を主な情報源としている)。

去る7月29日にFacebookのCEO Mark  Zuckerberg氏は決算説明会で「今後数年のうちに、当社はソーシャルメディアを主とするメタバースの企業と見なされるようになるだろう」と述べた。時期を同じくして、7月14日、Microsoft社のCEOのSatya Nadella氏も、同社が構築するクラウドコンピューティングサービスを「エンタープライズ・メタバース」と表現していた。どうも世界のメジャーな企業は既にメタバースの主導権を狙った戦争に飛び込んでいるようだ。

ではメタバースとは何なのか?メタバースとは、超越という意味のメタと、宇宙を意味するユニバースのバースを組み合わせた単語で、現実世界を超越したデジタル世界という意味のようだ。メタバースについて説明する前に、メタバースでの一日を想像してみよう。

朝: 先輩の誘いで朝サッカー会に出た。ゴーグルをつけた瞬間、私たちの姿が有名選手の姿に変身した。先輩はDavid  Beckhamに、僕はLionel Messiに。サッカーのスキルはメチャクチャだが、その不調和が面白い。Augmented Reality (AR)のメタバースがくれた体験だ。

午前: (大学の教授である私は)メタバースコインで新しい空間と小物を購入し、講義室を飾った。学生の頭の上にはステータスウィンドウが浮かんでいて、宿題をしたか、授業の資料を事前に読んだかなどの情報が一覧できる。グループ討議の時間になると、生徒たちがより議論に集中できるよう、講義室をスターバックスに変換した。Virtual reality (VR)がなければ想像できないことだ。

移動: 自動運転の車に乗ると、人工知能Virtual Beingの秘書が挨拶をしてくる。自動運転の車両の中はinteractive displayになっており、最新ニュースや今後の予定、私が好きな海の景色が見える。秘書が話しかけてくる。「目的地まで40分ぐらいかかりますが、新しく上映された映画をお見せしましょうか。上映時間は80分ですが、40分に合わせてお見せできます。」人工知能とは思えない働きぶりだ。

昼食: レストランのテーブルにつくと、ウェイトレスが言う。「先程の映画の中のXX料理に興味があるようでしたが、XX料理 にしましょうか」私がメタバースのコインを節約するために、自分のログ記録を共有するというオプションで映画を見たら、このようにlifeloggingメタバースに私の行動情報が自動的に記録され、共有される。

午後: ランチで一緒だった後輩が私の服のセンスが悪いと言って服を買ってあげるって言ってきた。私のドレスルームへのアクセスコードを後輩に渡し、各自ゴーグルをつけたら、私たちがいる店に新たな環境が立ち上がった。ゴーグルをつけている私の前に鏡のような画面が出てきて、そこには朝着てた黒いスーツではなく、ドレスルームから持ってきたズボンとニットに後輩が選んでくれたピンク色のシャツを着ている私が映っている。

夕方: メタバースコイン10個でゴーグルにレシピをダウンロードし、料理を始めた。ゴーグルをつけたら目の前に様々な情報が浮かんできた。冷蔵庫のどの段にどんな材料があるか、材料をどのように手入れするか、いつ材料を鍋に入れるべきかなどの情報が現実の上にオーバーレイされてきた。

夕方: ゴーグルをつけて何時間も引っ越し先の家を探してみたが、気に入ったところがみつからなかった。その時、建築会社のvirtual beingが私たちに声をかけてきた。私たちの土地の上に建てる家の設計図を書いてくれるとの事。いつの間にかホログラムの上に建物が建ち始めた。いくつかのホログラムの設計図を確認した後、virtual beingが必要な費用と時間を親切に教えてくれた。1人では決められなかったので2人の子供にメッセージを送ったら、しばらくして娘たちのアバターが姿を見せた。娘が空の上から全体景観に合うようにデザインを指示すると、virtual beingが指示通り設計図を変更し始めた。やがて満足できるデザインが完成した。

夜: 今日は事故で死んだ友達の祭日だ。友達の家族は彼が生前使っていたメタバースの記憶をcaelumサービスに送った。Caelumは死んだ人の人生に残っている痕跡を人工知能で再構成し家族に見せるサービスだ。私はゴーグルをつけたまま友達の家に向かった。部屋の中にはすでに友達が来ていた。生前と同じ声と笑顔で迎えてくれた。友達の7歳の息子がとりわけ嬉しそうにはしゃいでいた。このサービスは年に1日だけ受けられるようになっている。死んだ人と生きている人の人生の境界を明確にし、残された人が現実を生きていけるようにするサポートするためのものだ。

メタバースはアバターが生きるデジタルの地球である。皆さんはSteven Spielberg監督の映画「Ready Player One」を見たことがあるだろうか?主人公たちが各々のアバターで、オアシスという仮想世界で現実ではできない様々な体験をしている。現実の中で人々は人種、外見、コンプレックスなどでコミュニケーションが容易にできない時もあるが、アバターを利用することで、少し簡単に人と意見を交わすことができる。これがアバターの一番大きい魅力である。自分を表現する方法としてサブキャラクターを選択することで、社会的自我が活動する領域と、個人的自我が活動する領域を分けることができ、抑えられていた個人的自我、つまりサブキャラクターに心理的自由を与えることができる。

良くメタバースはVR(仮想現実)そのものだと思われがちだが、それより広い概念のデジタル世界を指しており、VRのほか、AR(拡張現実)、lifelogging, mirror worldが含まれている。

ARはディバイスを使って想像の世界だったファンタジックな要素や便宜性を持った仮想の情報を、実存するものに重ねることである。例えばポケモンゴーや、空港にある等身大のAR案内係がそれに当たる。ゴーグルをつけて自分の体に有名サッカー選手の体をかぶせたのもその一例である 。

Facebookや Instagramなどソーシャルメディアは代表的なLifeloggingメタバースと言える。なかには私たちが選別してアップする情報もあるが、位置情報等のデータはメディアに自動的に登録される場合が多い。Lifelogging世界が発展すると、それに伴いビックデータの正確性と重要度が増していき、Lifelogging世界とも密接な関係になる。例えばSpike Jonze監督の映画「Her」のように、いつかは自分がLifeloggingした情報を元に作られた、自分の好みに合う人工知能と恋に落ちるかもしれない。

Mirror worldは、実際の世界の姿や情報、構造などをコピーしたかのように作られた世界を言う。その上にユーザたちが作り出す情報を加工して載せて付加価値が高い情報を築いていくのだが、その代表例がUBERなどのビジネスモデルである。また車の中のナビゲーションもその一種であり、運転に役立つ地図情報がコピーされており、Mirror worldである。

仮想世界は言葉通り映画やゲームの中に登場する仮想のサイバー空間である。現実に存在しない全く違う新世界を構築することができる。私たちがよくするオンラインゲームも仮想の世界である。

4つのメタバース手段の中で仮想世界に一番人々が熱狂するのはなぜだろう。結論からすると人の視覚感覚のためである。人間は情報の80%以上を視覚から取るが、仮想世界は視覚的実在感を味わうのに最適化された機器である。よってメタバースを代表する機器とも呼ばれている。

メタバースの属性としては、以下のようなものがある。

連続性: 連続性は生きていく事と密接な関係がある。生きていく時重要なのは存在の連続性である。一つのプラットフォームで行われる様々な活動がシームレスに記録される。

実在感:実在感を呼び起こすのは良く組み立てられたストーリーにある。それを英語ではnarrativeと言う。Narrativeは今まで映画やドラマのようにストーリーが一方方向で提供されるのではなく、両方向で成り立つところが肝である。消費者の選択や性向によって違う結果が起こるからだ。

相互運営:これは現実世界とメタバースのデータ情報がお互い連動する性質を言う。そのためにはlifeloggingメタバースが活性化されないといけない。

経済的流れ: メタバースの代表プラットフォームで、今年アメリカの証券市場に上場して大きな反響を呼んだRobloxで使用される貨幣Robuxは実物通貨として経済的相互作用がある。

メタバース産業の5つの重要な要素は、使用者基盤user base、経験の接点、プラットフォーム、インフラ、コンテンツである。

使用者基盤はわかりやすく言うとメタバースで提供者より使用者に重点を置く新しい世界である。なぜ人たちはアバターを使ったメタバースに熱狂するんだろう。ここでは社会的な問題やメンツを考えず単純に競争でき、また利用者たちは現実と近い実在感を感じながらも、ストレスや恐怖が一定値以上になると保護本能が起き、現実でないと言う自覚をすることになる、つまりメタバースの世界は興奮と活力を与えると同時に、ストレスを抑制できる環境である。

経験の接点とはメタバースに接する方式を言う。現実とメタバースを繋げ、人たちに実在感あふれるメタバースを提供するハードウェアを始めとする技術を含めた概念である。ここで重要なのはDe Facto Standard。どこかの機構で定める標準ではなく、事実上の標準を意味する。ある製品や物質が最初に開発された後、インターネットを始めとするネットワークに伝播され、事実上の標準の役割をするものを意味する。PCの世界でWindowsより機能が優れたOSがあるけど、Microsoftの牙城を超えられないのは、WindowsがOS界のDe Facto Standardになったからである。業界の標準が定められるのには単純に技術力が全てではない、他の商品との互換性も重要。De facto standardを巡った戦争はこれから熾烈化するだろう。FacebookのOculus Quest 2とソーシャルプラットフォームの軸となるVRソーシャルAppであるHorizon、アップルの自動運転車Apple Car、MicrosoftのMR(Mixed reality)又はHybrid Reality技術を適応したB2B向けゴーグルHoloLensとプラットフォームクラウドサービスAzure、Neuralink社のBCI(Brain Computer interface)、Hap~tXのVRの触覚Feedback機能を持ったHaptX Gloveなど。前方の産業を構成するFacebook、マイクロソフト、アップルなどと同時に、後方にはシステム半導体企業であるNvidia、Qualcommなどがハードウェアの供給とバリューチェーンを構成している。

プラットフォームの戦争: Airbnb、Uber、Google、Youtube、Alibabaなど創業して20年も経ってない企業が世界経済を主導する理由は彼らの事業がプラットビジネスであるということにある。よって様々な企業がメタバース市場のメインプラットフォームになるために努力している。使いやすいプラットフォームを構築すると消費者が集まり消費者が集まると供給者も集まる。自然にマーケティング効果も生まれる。メタバースプラットフォームの中で一番関心を寄せているのがRobloxである。Robloxが主なプラットフォームにとして注目を浴びてるのは、それがゲームを飛び越えてソーシャル機能を備えていること、仮想通貨による経済活動など多様な価値を創出しようとしているからである。

メタバースのインフラとして求められているのが、6G通信網である。通信インフラの発展のために必要なのは人工衛星技術である。これでなぜ世界で一番を争う金持ちのアマゾンとテスラのCEOの2人が衛星事業に執着しているかがわかるだろう。6Gネットワークと同時に、メタバースで必要なデータを保管しリアルタイムでやりとりできるようにしてくれるクラウドサーバーも今後すべての未来産業分野で核心的な技術として位置づけられている。クラウドサーバー事業においては、アマゾンのAWSが35%のマーケットシェアで1位を占めているが、その後をMicrosoft社のAzureが追いかけている。Googleのクラウドサーバーサービスも毎年爆発的な成長率を見せている。そのほか、ハードウェアのプラットフォームをプログラミングするソリューションである3Dエンジン(代表的なもの: UnityエンジンとエピックゲームズのUnrealエンジン)、データセンターとデータセンターを建設、維持及び保守するためのReal Estate Investment Trust (REITs)産業(代表企業: EquinixのEQIX US Equityと Digital Realty TrustのDLR US Equity)、デジタル言語を高度な技術で処理する半導体インフラなどが必要である。

コンテンツ産業: メタバースの本質はコンテンツと面白さの追求である。メタバースの古典であるゲーム産業におけるRobloxは単純に3Dグラフィックでするゲームではなくゲーム開発者たちにオープンソースプラットフォームを提供しゲーム内で発生する収益を共有するシステムを持ったプラットフォームである。


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