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「特定疾患管理料:三疾患除外」への対策・その6・療養計画書(初回用)考察

生活習慣病管理料(Ⅱ)の算定要件である療養計画書(初回用)が公表されました。すでに令和6年3月5日の公表なのですが、咀嚼するのに時間が掛かっていましたこと、公開する他の記事が渋滞していたことなどから、当方、適時的に記事にできなかったのですが、遅れ馳せながら考察していきます。

まず公表された新様式9を示します。さっそく現様式9と比較してみます。

新様式9
様式9

パッと見ただけではわからないですので、二つ並べてみます。
規定幅の関係でどうしても図が小さくなってしまうのですが、図として保存してから拡大して見るとか、またはなんとか眼を凝らせて見てください。
新様式9と現様式9とを比較、その特徴を1)~4)にまとめてみます。

1)【重点指導項目】【問診】は現様式のまま

現様式で【重要指導項目】とされている緑色部分はそのまま新様式でも踏襲しています。『食事』『運動』『たばこ』について指導を徹底してほしいという厚労省の意図が強く感じ取れます。現様式の【問診】も簡素化されているとはいえ緑色部分で示しますように踏襲です。現行の特定疾患管理指導では目標設定まで含めた指導がじゅうぶんではないと厚労省は評価しているのでしょう。『患者と相談して』目標を決めてほしいと意図だと思います。

2)身長体重血圧実測値や服薬指導などの省略

橙色部分は新様式で省略された部分です。現様式の【検査項目】の部分からは、[身長] [体重(現在)] [BМI] [腹囲(現在)(目標)] [収縮期/拡張期血圧] [運動負荷心電図] が省略されています。
現様式の【問診】の1段目、[食事の状況] [運動の状況] [たばこ] [その他の生活] すべてが省略されています。
現様式の最後の三段【服薬指導】【療養を行うにあたっての問題点】【他の施設の利用状況について】もすべてバッサリと省略されました。
生活習慣病管理料(Ⅱ)を算定する医療機関が中小零細であることを厚労省は予測しているのでしょう。小さな診療所では運動負荷心電図検査の実施なんて現実的ではありません。現様式太枠内最後の3行に掲げられている指導や聴き取りも医師一人で外来診療をしている中小零細医療機関では限られた診療時間の中から捻出できません。このあたりを厚労省は配慮して(くれて)いるのでしょう。

新様式9         ⇐         現様式9

3)【目標】の行を新設 ⇒ 目標値の明確化

赤色部分に注目してください。現様式で散らかっている赤色部分が新様式【目標】の行できれいに集約されているのが一目瞭然です。[BМI(目標)] [収縮期/拡張期血圧(目標)]が新設されて、新様式【目標】の行に配置されます。現様式ですでに目標値記入を求められている[体重(目標)] [HbA1c (目標)] は場所を変え、[BМI(目標)] [収縮期/拡張期血圧(目標)]と同じ新様式【目標】の行としてまとめられることになったようです。指導による具体的な成果を医療機関に要求している厚労省の強い意図が感じられます。

新様式9         ⇐         現様式9

4)血液検査結果の記載は手交で記載不要

赤色部分の目標関連事項を新様式【目標】としてまとめられことによって、新様式では青色部分からは目標関連事項は無くなりました。
その目標関連事項が無くなった青色部分は新様式の太枠内最後の8行に移動しています。しかも『血液検査結果を手交した場合は記載不要』というただし書きも付いています。つまり、新様式【目標】の行に目標値を記載するだけでも、生活習慣病管理料(Ⅱ)の算定要件を満たすことができるようです。ただし『血液検査結果を手交』することが必須です。
この措置も医師一人で外来診療をしている中小零細医療機関に対する厚労省の配慮でしょう。限られた診療時間の中で、『血液検査結果を手交』するだけでなく、その『手交』した『血液検査結果』をもう一度同じ数値を療養計画書に記載もすることを求めるのは適切ではないとの判断でしょう。
もう一度同じ数値を療養計画書に記載もするなんてことになると「誰の口がDX DX って言うてるねん?」ということになりますからね。


以上、生活習慣病管理料(Ⅱ)の算定要件である療養計画書様式9(初回用)を考察してみました。次の記事は(継続用)を考察してみます。
しっかり考察して、攻略法を編み出しましょう。

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