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English Literature Journal (3)

先日母に「今までの人生で一番楽しいなって思ったのって何十代の時?」って聞いたら、「今!辛いこともあるけど今が一番充実してる。好きなこともできてるし」って言ってて、とても素晴らしいことだなぁと思った。
今までは、私が常に追いかけている理想の世界が実現すれば、そこに辛いことなんて一切なくて幸福感に常に満たされているんだろうなっていう想像をしていたけど、実際にはそんな世界なんてほぼ実現しないんだと、良い意味で思えるようになったエピソードでした。
私は気付いたら二元論的思考に陥りがちだから、そのせいで辛いことがゼロになって幸福度がマックスの状態が理想みたいな考え方になってしまっていたけど、現実はどちらもゼロになることはなくて、ただ母みたいに「楽しいな、幸せだな」っていう時間を過ごせている時は、辛いことよりも幸福感の方が数値にすると大きい状態であるんだろうなぁというゆるい考え方に更新できたので、少し成長しました。

夜間スクーリング後期 イギリス文学史Ⅰ 10/27

今回の授業もとても面白かったですね。(毎回面白い)
特に興味深かったのは次の2つのトピックでした。

トマス・モア 『ユートピア』

これは今回の授業を聞いて、読んでみたいと強く感じた作品でしたね。
そもそもまず、歌詞とかでよく聞く「ユートピア」という言葉がトマス・モアによる造語で、しかも意味が「理想郷」ではなく "nowhere"(どこかよくわからない場所)だということが私的にめちゃくちゃ衝撃の事実。
え、そしたらさ、スピッツの「運命の人」っていう曲あるじゃないですか。

" アイニージュー あえて 無料(タダ)のユートピアも
汚れた靴で 通り過ぎるのさ
自力で見つけよう 神様 "

スピッツ 「運命の人」

という歌詞があるんですけど、この「ユートピア」を、本来の意味である「どこかよくわからない場所」で考えるとなんか深みありません?
草野さんはどちらの意味でこの言葉を使ったのかわからないですけど、「理想郷」だとしても「どこかよくわからない場所」だとしても、どっちも味があっていいですね。
でも、この言葉モアの造語なのにどうしてこんなに日本で浸透してるのか不思議。
誰がこの言葉を日本で広めたんだろうね。
気が向いたら調べてみるか。

それはそうと、私が一番興味を惹かれたのは、モアの柔軟な考え方。
モアはゴリゴリのカトリック教徒だったのにも関わらず、その本の内容には割とプロテスタントに近い世界観が展開されているようです。
カトリックって形式張っているというか、決められていることが多くて、当時はそれに反した思想を持つのってなかなか難しい環境が作り出されていたイメージだけど、そんな中でモアは自由な発想で、希望を持って未来を想像していたというのはすごいと思う。
ただそこにある世界を当たり前と思わず、自分の頭で物事を思考しているということなんじゃないのかな。
ましてや、カトリックの基盤が揺らぎ始めていた時代であったとはいえ、その当時の世間一般とは違う考えを、本という形で広く表明した勇気もすごい。
そういう人間の存在が、その時々の時代で社会を動かして、歴史を作っているんだろうなって思いますね。

モアが考える「ユートピア」の社会制度、気になるものばかりなのでめちゃくちゃ読みたいです。

ミハイル・バフチン

彼は旧ソ連の学者で、私の授業メモには「ありとあらゆる文学関係の批評家」と書かれているが、wikiを見てみても、ものすごく幅広い分野にわたって研究をされていたことがわかる。
授業では、彼の「小説論」が紹介された。
公式にははっきりとした定義やルールが存在しない「小説」だが、おそらくものすごい量の小説を読んだのちに導き出したであろうバフチンによる、小説とはなんたるかの話だ。
内容を聞いただけではイマイチ分かりにくいが、今自分が読んでいる小説に当てはめてみると、確かに彼の提唱する小説の条件と合致するので面白い。
何よりも、この世に存在するあらゆる小説を一般化して、このような条件を導き出したというのは本当にすごいと思う。
小説一本読むのにも時間かかるのに、それをかなりの数を読まなければならないし、ましてや分析しながらとなったらもう気が遠くなるほどの時間がかかりそうだ。
しかも、失礼な話だが、「小説」を定義づけられたからと言って、それを役立てられる人はごくわずかしかいないだろう。
もう純粋に小説を読むことが大好きでないと、研究のモチベーションを保つのも大変そうだ。
並大抵の人間じゃあ、なかなかできないことだと思う。
没頭に没頭を重ね、出来上がったものがものすごくマニアックなものだったとしても、いいものができれば、それはすごい仕事になるし、面白い仕事になるし、ユニークな人間になれるよなぁ…と彼のほんの一部の成果物を見て感じた次第だ。

あとがき

これを書き上げるのに1週間以上かかってしまった。
特段忙しい生活をしていたわけではないんだけどね。
一週遅れの更新です。
なんか書いてて思うけど、自分らしい文体というものがつかめそうでつかめない感覚がある。
もっと文字で上手く自由に表現できるようになりたいね。

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