薔薇

そこにはバラがありますか
それとも愛があるのですか
わたしは目が見えないのです
愛も悲しみも
全く見えないのです
疲れだけを噛み締めて 
地べたを舐めるように生きてきました
しかし私はバラではありません
月や太陽でもありません
奇しくも風であり雨でありました
あなたを撫で
洗い流す
ひとときでありました
わたしは時
いつも時
あなたを包み
ともに歩む
友人なのですが
しかしまたはバラであり
あなたの友なので
それはここにこうしてある
愛の花びらなのです
あなたを敬って
あなたに倣い
お供します
そんな拙い花なのです
つまりはあなたの足音であり
歩行をなすものとして
お仕えしています
花を添えてください
私はバラが好きなのです
あなたにまるで
そっくりですから
あの花を私に———

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