大河完結記念『気まぐれ天魔と金柑頭』
「そなた、天下は欲しくないか?」
安土の城にて我が主君、織田前右府信長様が仰ったこのお言葉から全てが始まり、また、全てが終わった。
「な、何を?」
「だから天下じゃ、天下。もしや聞こえんかったか? 金柑頭め」
お言葉は確かに耳に入っていた。何を言っているのかも一応把握は出来た。しかしそれでも飲み込むのに時間がかかった。
『天下は欲しくないか?』
上様は、某が天下を欲するかどうかをお尋ねになった。
さてこれはどういうことだろうか?
天正十年、今この時におかれては『天下に最も近