旧約聖書

【旧約聖書】

「言われないと気づかないでしょ?」

この言葉を使う時、人は得意気である。

「それ、実はお肉じゃなくて、お麩にベーコン巻いて焼いて、お肉に見えるようにしてるんよー。見た目もお肉やから、味も牛肉に感じるでしょ?言われないと分からないでしょ?」

こう言われたら、「ホンマですねえ!牛肉だと思って食べてました!」

と言うしかないのである。

本人が得意気だから。

特に、これがブラック企業の社長だとしたら。

「私は実は男なんだよ。性同一性障害で、心が女なんだよ。でも、言われないとわからへんやろ?女やと思ったやろ?」

こいつが、ハゲ散らかしてたとしても「はい!言われないとわかりませんでした!!!」

こう言うしかない。

「私がつけてるこの口紅、これ、口紅じゃないんだよ。梅干しの汁を塗りたくってるんだよ。言われないとわからないやろ?」

はい!言われないとわかりませんでした!!!

「わたしの唇、プルプルだろ。これは、天ぷらを、揚げたあとの残りの油を塗りたくって、グロス代わりにしてるんだよ。言われないとわからないやろ?」

はい!言われないとわかりませんでした!!!!

と、このように、意味のわからない朝礼がある会社も、この世のどこかには存在します。

さて、読者のみなさん。

そこのあなたです。

白いカーテンを身体にまきつけて、クリップで留めてるだけなのに、ウエディングドレスを着てるみたいな顔をして、結婚式を挙げてる新婦がいたとします。

その新婦があなたに近づいてきます。

今です。

今、あなたに近づいてきているのです。

新婦とあなたとの関係は、無二の親友です。

「これ、ウェディングドレスに見えてるでしょ?でも、実はこれ、白いカーテンを体に巻きつけてるだけなのよ。言われないとわからへんでしょ?」

ニコニコと、幸せそのものの表情ですが、あなたには、彼女の姿は、白いカーテンを巻きつけてるだけにしか思えません。

この時あなたは、どう答えますか??

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