【新しいパブリックビューイング】
1【新しいパブリックビューイング】
「このように、親鸞聖人は、人生の意味を教えて、俗世に生きる人々の生活に寄り添いながら、ブッダの教えを広めるだけではなく、ご自身の経験を踏まえ、この生きづらい世の中を生きる意味を説いたのです」
大きな大きなモニター画面に映し出された男性はキッチリとした横分けの髪型で紺色のスーツを着ている。
ここは、とあるスポーツBARである。
大きな画面は、いつもはスポーツ観戦に使われているが、現在は、真面目が服を着て歩いているような人物が、仏教の話を40分続けている。
「そろそろかな?」
「終わりそうだね」
「いよいよ、くるか?くるか?」
ザワザワしだす店内。
店内の空気が変わり始めたタイミングで、マスターが店内の照明を少し暗くした。
「おっ!?」と反応する客席の人たち。
大画面の光が明るく目立つ。
若い男女が多いが、20代から50代まで様々な年齢層がいる。
カクテルのおかわりを頼もうとしていた女性も照明が落ちたことで、自分の席に戻り、座り直した。
仏教の話は、そこから、まだ続いた。
「焦らすねえ」とハイボールをグッと飲みながら、楽しそうな様子で一番前のテーブルで男は呟いた。
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