にぼしいわしにインタビュー

このたび、スパンキープロダクション所属の女性芸人コンビ“にぼしいわし”さんにインタビューをしました。


ーーーー今日はよろしくお願いしますーーーー


にぼし「よろしくお願いします」
いわし「よろしくお願いします」


ーーーーわたしは、ハクション中西という名前で、昔は芸人をやっていたんですが、今はお笑いルポライターをやっております


いわし「そうなんですね。一番おもんないやつのイメージ(笑)」
にぼし「コラ、やめなさい(笑)」


ーーーーさっそくですけど、お二人っていうのは、どういうきっかけで、コンビを組まれたんですか?ーーーー

いわし「二人が行ってる散髪屋が、千円カットの安いとこで、どっちもそこの常連やったんですよ」
にぼし「わたしのほうが、そこの店、見つけるの早かったけどな」
いわし「こいつ、いっつもそれ言うてくるんですよ(笑)。ネタ合わせの時とかでも、『千円カットでは、先輩やぞ』って」


ーーーーなんか、仲がいいんですね(笑)。女性なのに、千円カットにいくんですか?なんか珍しいような気がしますーーーー

いわし「(机を叩く)」
にぼし「あかん、これ、すいません、マジのやつです」
いわし「あのな?千円カットで何があかんねん。迷惑かけたか?っていう話やねん」


ーーーーい、いえ、すいません。珍しいのかな、なんてちょっと思ってしまって。あ、なんというか、デジカメがあるのに今さら、写ルンですが流行り出したみたいなとこもありますもんねーーーー


いわし「(少し機嫌がなおる)分かってるやん」
にぼし「そのたとえ、本人も、よく使ってます(笑)」
いわし「で、なんやったっけ、話」
にぼし「違うがな。コンビを組んだきっかけ!」
いわし「そうやった、そうやった。コンビを組んだきっかけね。わたしが千円カットで切ってもらってたら、その直後にこいつのカットの順番が来て」
にぼし「そうそう、その時に言うたんよね。横の人みたいな髪型にしてくださいって」
いわし「初対面ですよ(笑)?顔は見たことあるなあ、ぐらいの」


ーーーーへぇ、それで知り合いに?ーーーー


いわし「そのあと、同じ髪型の奴が店から出てくるわけやから、わたし、並んで歩くのイヤやから、サッと帰ろうかと思ってて」

にぼし「そこに、ウチが追いかけていって、肩をパッとつかんだんですよ。で、その時に言ってんな?
『ウチとコンビ組まへん?』って」


ーーえぇえぇ〜?すごい展開!?ーーーー

にぼし「いや、そこだけ聞いたらおかしいと思うかもしれませんけど、ウチ、その当時ピン芸人で、【オフィスラブ新橋(にいばし)】っていう名前でライブとか出てたんですよ。で、なんか違うなぁって思ってて」

ーーーーにぼしさんは、先にお笑いやってはったんですね?ーー


にぼし「はい」
いわし「それやのに、ネタ合わせの時もめたら、千円カットではわたしのほうが先輩やぞって言ってくるんですよ、こいつ(笑)。お笑いのほうで言わへんのかい!」
にぼし「お笑いは負けてるんで、相方に(笑)」
いわし「そこは認めるんかい(笑)」
にぼし「千円カットでは先輩なんで」
いわし「いや、他の店の千円カットは、わたしのほうが先に行ってたし」
にぼし「いや、それも本人が言うてるだけやし。ウチのほうが多分早いし」
いわし「いやいや、ありえへん。だってな…」


ーーーーちょ、ちょっと待ってください。千円カットでの先輩後輩で揉めないでくださいよぉ(笑)ーーーー


いわし「それもそうやな」
にぼし「で、その時のオフィスラブ新橋(にいばし)がうまくいかなかったので、コンビ組みたいなと思ってて。で、なんか、女性やのに千円カット来るの、ウチぐらいかなと思ってた矢先に、お笑いとかやってなさそうなのに、こいつが、千円カットを日常に溶け込ませてる感じを出してきて、それでウチ、負けたと思ったんですよ。だって、ウチは、千円カットを頑張って、気合い入れて、店入る前に、顔を自分でピシャッて叩いてから入ってたんですよ」
いわし「あ、あれ、その音か?なんか、いつも音してるなぁと思ってた(笑)」
にぼし「せやで。ウチは、千円カットで散髪するの、女の子やから、恥ずかしいけど、芸人なんやから、破天荒なエピソード作ろうと思って、背伸びして行ってたんよ。でも、いわしは、自然体で行ってた。で、こいつとコンビ組んだらどうなるんやろうって思って」


ーーーー思考回路がよくわからないです。にぼしさんのーーーー


いわし「で、こいつ、その時滑舌悪くて、自分のコンビ名のオフィスラブにいばしの、にいばし、がにぼしって聴こえてたんですよ。で、お前にぼし、でウチ、いわしでいこか?ってなって」
にぼし「でも、にぼしってなってから、にぼしって言おうとすると、にべし、って言ってしまうようになって。ほんまにジェットコースター人生やわ」
いわし「どこがジェットコースターやねん。起伏がお前の内部にしかないねん」
にぼし「で、いわしから、お前、今まで、にいばし、って言おうとして、にぼし、になってしもてたんやからこれからもにいばしって言おうとせえよ、ってアドバイスをもらって」
いわし「腹立つでしょ、こいつ(笑)」


ーーーーあはははは!やっぱり面白いですね。さすが芸人さんだ。ちなみに、ネタはどちらが書いてるんですか?ーーー

いわし「最初はこいつが書いてて、三日でわたしが書くようになりましたね」
にぼし「はい。そのほうが揉めないし」


ーーーーネタを書くときってどんな時に思い浮かぶんですか?ーー


いわし「まあ、千円カットにすべての人間観察は詰まってるんで、ほんとに、そこで拾ってきて、って感じですね。銀座のお寿司屋さんが築地にいって魚を仕入れるみたいな感じです」
にぼし「千円カット行くことを『築地に行ってくる』って言いますからね」
いわし「言わなくてええねん、余計なこと(笑)」


ーーそんな、ほんとに楽しいお二人なんですが、コンビ名をこの度、改名されるそうで?ーー


いわし「はい、にぼしいわしあらため、築地千円カッターズをこれからもよろしくお願いします」
にぼし「今日はありがとうございました」



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というわけでこの記事の掲載後、にぼしいわしのお二人からコメントをもらってます。


いわしのコメント

中西さんにはいつもお世話になっております。この度壮大なフィクションインタビューをしてくださり大変光栄に思っております。ありがとうございました。しかしながら、何度も申しておりますが我々は千円カットではございません。掃除機で毛を吸われたことも、クシをもらったこともございません。アンティーク調のオシャレな美容院で整えていることをもうそろそろ信じていただければと思います。よろしくお願い申し上げます。


にぼしのコメント

ハクション中西さんへ
昨今1000円カットが縮小しつつある中、このような1000円カット信者を奮い立たせるような文章を書いていただき、至極感動いたしました。定期購読させていただきたいと存じます候。


そして、最後に彼女たちのネタをご覧くださいませ。



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