『いい子に育てると犯罪者になります』

『いい子に育てると犯罪者になります』

著者:岡本茂樹

出版社:新潮社 (新潮新書)

発行年:2016年3月20日

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 昔、テレビかラジオかで、オードリーの若林さんが、書店の新書コーナーに行ってタイトルを見ながらツッコミをいれていく、というお話をされていました。どの媒体での発言かは忘れているわりに、その一部分だけ頭のなかに今でも残っていて、今でもその行為を真似している自分がいます。

 本書『いい子に育てると犯罪者になります』は、タイトルが逆説的で「思いきった主張だな!」と気になってしまい購入しました。ずいぶん煽っているタイトルで、その主張に半信半疑でしたが、読み進めていくと、「確かにそうかもなあ」と納得するところも多く、著者の言葉には現場に裏打ちされた「説得力」がありました。

 小さい頃から、感情を抑え込んで生きていくと、どこかの時点で間違いを起こしたり、感情を爆発させてしまう……。本当、その通りだと思います。

 印象的な文章がありました。


 普通、人は、うれしいときに笑い、悲しいときには悲しんだり涙を流したりします。しかし自分の本当の感情(特に否定的感情)と向き合うのが怖いとき、人は、その感情を押し殺すか、別の感情、すなわち「笑い」を出します。うれしいとき笑いますが、悲しかったり苦しかったりするときにも笑うのです。(p.44)


 自己防衛としての笑顔……これは何となく分かるなあ、と。私もやっていた(いる)ことがあるからです。「否定的感情と向き合うのが怖い」という精神面もありますが、「人前で泣くのは恥ずかしい」という価値観(本書でいう刷り込み)も影響していたのかなと考えました。(ふと、「悲しいときに、むやみに笑わない」という刷り込みも勿論されていそうだなと思ったのですが、それより「自己防衛としての笑顔」の方が強いと、上書きされてしまうのかもしれません。個人の見解ですが。)


 あと、少年院、刑務所のなかの様子も知ることができて、興味深かったです。

 岡本さんの『反省させると犯罪者になります』『凶悪犯罪者こそ更生します』も気になってしまいました。読んでみようと思います。

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