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『サーチライトと誘蛾灯』
【 ネタバラシはありません 】
『サーチライトと誘蛾灯』
著者:櫻田智也
出版社:東京創元社
発行年:2017年11月10日
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(内容紹介)
ホームレスを強制退去させた公園の治安を守るため、ボランティアで見回り隊が結成された。ある夜、見回りをしていた吉森は、公園にいた迷惑な客たちを追いだす。ところが翌朝、そのうちのひとりが死体で発見された! 事件が気になる吉森に、公園で出会った昆虫好きのとぼけた青年・魞沢(えりさわ)が、真相を解き明かす。観光地化に失敗した高原での密かな計画、街はずれのバーでの何気ないやりとりが引金となる悲劇……。事件の構図は、魞沢の名推理で鮮やかに反転する! 第十回ミステリーズ!新人賞を受賞した表題作を含む全五編。軽快な筆致で贈るミステリ連作集。
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本書は五編が収録されています。
■「サーチライトと誘蛾灯」
当時選考委員の一人であった新保博久さんが〈冒頭から泡坂妻夫ふうの、とぼけた遣り取りにたちまち引き込まれる〉と仰っています。確かにそうだな! と思いました。軽いタッチで書かれているが強度は高い、そんな感じです。あと、本編は舞台化もできそう。みてみたいです。
■「ホバリング・バタフライ」
森の中で蝶を探していた魞沢、相変わらずおとぼけで微笑ましいです。乗り掛かった船(乗ったのは車ですが)とはいえ、彼がいてくれてよかったと思いました。本編も登場人物が少ないという制約のなか意外な真相まで推理……いや推測ですかね……で引っ張っていく力がすごい。
■「ナナフシの夜」
タイトルが秀逸です。私の漠然とした当てずっぽう以上の真相で参りました。こういうのが気持ち良いのです。それにしても、ナナフシ……私は小学生のときに自然公園で見たことがあります。今でも見つけることができるのか。自信ないです。
■「火事と標本」
狂気は紙一重だなと思うような一編。
■「アドベントの繭」
伏線最高。聖書というガシェットも良かったです。この歳になってくると、事件の渦中に子どもがいるとき、周囲の大人たちは彼(もしくは彼ら)にどんな行動をとるのか気になってきます。本編は、そういうお話でもあります。
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