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『ブラッド・アンド・チョコレート』

【 ネタバラシはありません 】

『ブラッド・アンド・チョコレート』

著者:菅原和也
出版社:東京創元社
発行年:2016年4月22日

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(内容紹介)
 日々をだらだらと過ごす、十九歳のフリーターのぼく。ある日ぼくは、フリージャーナリストである、従兄のダイ兄ちゃんに呼び出される。《知性の窓》という怪しげな能力研究団体の取材に、協力してほしいというのだ。なぜなら、主宰者の娘であり、「生きた奇跡」として団体のシンボルに祭り上げられているのは、ぼくの幼馴染である未来だったからだ。後日、ぼくたちは人里離れた山奥にある、団体の研究所への潜入に成功。いわくありげな研究員や数々の自称能力者たちと出会い、未来とも再会する。しかし、研究所内の密室で、首を切断された死体が発見され……。横溝正史ミステリ大賞作家が描く、鋭利な青春本格ミステリ。
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 私が好きなレーベル〈ミステリ・フロンティア〉から出た一冊です。人里離れた場所で殺人が起きます。それも密室内での首切り殺人です。ある種、限定されたクローズドサークルという状況で、語り手が素人探偵さながら犯行現場を見たり関係者に話を聞いたりします。物語内に散りばめられたガシェットは、本格ミステリそのものです。しかし、その調査の仕方は、ある意味ミステリ小説に対しての皮肉(あるいは冷静な目線)も混じっていて、なかなか興味深かったです。(関係者のなかに都合よく〇〇はいないし、スマホで色々なことが調べることができる云々……。)終盤のツイストした展開と〈ぼく〉の心情に触れ全ページ読み終えたとき、どことなくモヤっとした感情が湧き出てきました。いい意味で、ですが。

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