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『カムパネルラ』

【 ネタバラシはありません 】

『カムパネルラ』

著者:山田正紀
出版社:東京創元社
発行年:2016年10月21日

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(内容紹介)
 宮沢賢治研究に生涯を捧げた母の死。遺言に従い、花巻まで散骨に訪れた僕は、物語と現実が混淆する異様な殺人事件に遭遇する。『銀河鉄道の夜』をモチーフとした傑作長編SF。
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 混淆って、「こんこう」って読むんですか。勉強になります。
 本書は、装幀に惹かれて買った記憶があります。帯には〈時間と物語の枠を超えて展開する本格長編SF〉と書いてあります。普段SFを読まない私にとっては、多少のハードルがありましたが、装幀に惹かれて思わず買いました。本書のキーである『銀河鉄道の夜』もずいぶん昔に読んだ覚えがあるだけで、細かい内容はすっかり忘れていました。本書の題名にもなっている〈カムパネルラ〉、そして帯にも書いてある〈ジョバンニ〉という人名を見て、そうそうこの二人が『銀河鉄道の夜』に登場する少年たちだったなあ……と思い出す始末です。いつか近いうちに『銀河鉄道の夜』を読みなおそうと思いながら、本書を読み進めました。ところどころに『銀河鉄道の夜』の原文が書いてあって、「あー、こういう雰囲気の文章だったよなあ」と思っていたら、なんだか雲行きが怪しくなってきて、SF初心者の私はいつからか物語に迷子になってしまいました。もう少し詳しく書くと、物語を楽しんでいる自負はあるが、はたして著者の狙いをどこまで理解して反芻しているのか……読み終えたときには最初の頃より自信がなくなっていました。おそらく私が把握している「システム」より、もっと奥が深くて色々と考えられているはず、だと思ってしまったのです。その時点で、またいつか挑戦しないといけない本だなと感じました。レベルアップするぞ。

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