『バラエティ番組化する人々 あなたのキャラは「自分らしい」のか?』

『バラエティ番組化する人々 あなたのキャラは「自分らしい」のか?』

著者:榎本博明

出版社:廣済堂出版(廣済堂新書)

発行年:2014年10月2日

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 内容紹介より。

 自分のキャラを意識し、仲間とキャラが被らないように気をつかう現代人の人間関係。キャラにのっとったお約束のやり取りは、テレビのバラエティ番組さながらの様相だ。キャラによって自分の出し方が決まり、無難にその場をやり過ごせる一方で、キャラという借り物の個性にとらわれ、息苦しさを感じる人も多い。「キャラ」と「自分らしさ」をめぐる心の問題を心理学者が徹底分析。

 本書を読むことで、〈キャラのもつ効用と限界〉(p.7)について色々と学ぶことができました。学生時代を振り返ると、確かに周囲には「キレキャラ」とか「ボケキャラ」とか「イジられキャラ」とか「クールキャラ」とか……この人と言えばコレ! みたいなキャラ付けがされていたような記憶があります。私もキャラをもっていました。たぶん。それがキャラなのか、素なのかは、もう判断がつかないですが、いわゆる(自分に与えられた)キャラを演じることで、嫌になったり疲れたりしたことはなかったような気がします。そう思うと、私は環境に恵まれているんだなあと再認識しました。

 また、終盤の方に〈「自分を変えたい」「生活を変えたい」と思うときには、ふだんと違う語り口をすることだ。そのために必要なのは語る相手を変えてみることだ。いつもと同じ仲間と関わっているかぎり、語り口を変えるのは難しい〉(p.179)という文章を読んで、「あー、自分はそういうモヤモヤやイライラも聞いてくれるし語ってもくれる友人が何人もいるなあ。パートナーもいるなあ」と気づかされました。この本書を買ったのがいつなのかもう覚えていませんが、積ん読をしているうちに本書がいう「語りの場」が何個かできていました。数名の方々に感謝しないといけないなと思いました。

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