『田舎の刑事の動物記』

【 ネタバラシはありません 】

『田舎の刑事の動物記』

著者:滝田務雄

出版社:東京創元社 (創元推理文庫)

発行年:2011年12月22日

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 本書は、2009年に刊行された『田舎の刑事の闘病記』を改題・文庫化したものです。(巻末参照) そして、シリーズ第二作目です。

 2012年に連続ドラマ化……そういえば観たなあ懐かしいなあと感慨深いです。板尾創路さん、田辺誠一さん、田中圭さんが出演していたとな。うっすらとした記憶ですが、原作と同じような空気感だったような覚えがあります。

 本書は、6編が収録されている短編集です。夏休みで始まり、冬休みで終わる。季節を感じさせる構成となっております。

 個人的ベストは、表題作の「田舎の刑事の動物記」。なにがすごいかと言うと、黒川刑事含む主要キャラ以外は、ほぼ全員「職業名」でしか登場しないことです。農家代表、保健所、動物愛護団体の代表、猟友会……。記号化! でも、まったく抵抗なく読めました。

 この「動物記」の肝となる謎が明らかになったとたん、背筋がぞっとしました。本編含めどのお話も黒川刑事周辺には必ずコミカルな空気が漂っているのですが、その空気に気を取られると、大事な伏線を見落としてしまいます。コミカルでいてロジカル。そこを見極める面白さもあります!

 シリーズ第1作目『田舎の刑事の趣味とお仕事』も再読したいので、ぼちぼち本棚から探し出そうと思います。

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