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『夏を取り戻す』

【 ネタバラシはありません 】

『夏を取り戻す』

著者:岡崎琢磨
出版社:東京創元社
発行年:2018年9月28日

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(内容紹介)
 これは、もうすぐ二十一世紀がやってくる、というころに起きた、愛すべき子供たちの闘いの物語。――不可能状況下で煙のように消え去ってみせる子供たちと、そのトリックの解明に挑む大人の知恵比べ。単なる家出か悪ふざけと思われた子供たちの連続失踪事件は、やがて意外な展開を辿り始める。地域全体を巻き込んだ大騒ぎの末に、雑誌編集者の猿渡の前に現れた真実とは?
 いま最も将来を嘱望される俊英が新境地を切り拓く、渾身の力作長編。ミステリ・フロンティア百冊到達記念特別書き下ろし作品、遂に刊行! 
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 10代に読んだことがある本で、30代に読み返したとき、その本から受け取る感情が変わっている……本に限らず、ドラマや映画、演劇などもそうですが、そういう気持ちの変移を感じる瞬間が度々あります。それが初めて読む本でも「これ10代の頃に読んだら、また違う感想になるんだろうなあ」と想像してしまうときもあります。それが本書です。本書に登場する子どもと大人、どちらからの視点も、遠くで静かに見守っている著者の思いを(妄想かもしれませんが)行間から感じてしまい、ほんの少し泣きそうになりました。あと、私の好きな〈ミステリ・フロンティア〉の100冊到達記念の作品が本書で良かったなと、読み終えてからしばらくしみじみとしてしまいました。

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