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『星読島に星は流れた』

【 ネタバラシはありません 】

『星読島に星は流れた』

著者:久住四季
出版社:東京創元社
発行年:2015年3月20日

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(内容紹介)
 天文学者サラ・ディライト・ローウェル博士は、自分の住む孤島で毎年、天体観測の集いを開いていた。ネット上の天文フォーラムで参加者を募り、招待される客は毎年、ほぼ異なる顔ぶれになるという。それほど天文に興味はないものの、家庭訪問医の加藤盤も参加の申し込みをしたところ、凄まじい倍率をくぐり抜け招待客のひとりとなる。この天体観測の集いへの応募が毎回凄まじい倍率になるのには、ある理由があった。孤島に上陸した招待客たちのあいだに静かな緊張が走るなか、滞在三日目、ひとりが死体となって海に浮かぶ。犯人は、この六人のなかにいる――。
 奇蹟の島で起きた殺人事件を、俊英が満を持して描く快作長編推理!
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 読み終えたあと「買ったときにすぐに読めば良かった……!」と頭を抱え込みました。それくらい面白いミステリでした。ミステリファンをくすぐる舞台設定、組み立てては崩れていく推理、そして巧妙に隠された裏のテーマ……。また、本書に深く関わっている「天文」も興味深かったです。素人の私にも理解できるような知識の挟み方で、ほんの少しだけ賢くなったような気がします。いろんな学問があるものです。もちろん伏線としても素晴らしい効力を発揮していました。
 また、本書の帯の後ろに書かれている米澤穂信さんの文章も良かったです。 

天上へのあこがれと地上の欲求とが交わる一点で殺意が生まれる、その構図が美しい。胸おどる舞台設定と、ロジックを扱う手つきの確かさに、ミステリを読む楽しみとはこういうものだったと嬉しくなる。『星読島に星は流れた』という題もいい。久住四季の新たなる一歩に接し、たちまちその第二歩が待ち遠しくなった。

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