『子どものまま中年化する若者たち 根拠なき万能感とあきらめの心理』

『子どものまま中年化する若者たち 根拠なき万能感とあきらめの心理』

著者:鍋田恭孝

出版社:幻冬舎 (幻冬舎新書)

発行年:2015年7月30日

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 20代の頃に買ったいわゆる「若者論」に関する新書を、30歳になって読んでみます。【その1】です。ある意味それらと一旦距離をあけるために、手当たり次第に読んでいくつもりです。まず本書ですが、当時の私はタイトルに惹かれて買ったと思います。つまみ読みをしたので、全部読みきっていない覚えがあります。ということで、4、5年ぶりに本書の帯に書いてある内容を読んだのですが、改めて思い当たる節が何個かあるので俄然中身が気になってきました。〈植物化する男子、クラゲ化する女子/思い付き・遊び感覚の犯罪の増加/言われたことはまじめにやる/「わからない」「別に」「何となく」「びみょう」/理想の自己像がないから葛藤もない/根拠なき万能感ゆえの、傷つきやすい自己愛/親に反抗し、異性に恋い焦がれる「青春」が消えた/自分は有能で評価に値する人間だという思い込み/経済格差より深刻な養育格差〉。読み進めているうちに、20代後半から感じていた「ぼんやりとした不安」の背景が分かったような気がしました。また、読み終えて考えたことが一つあります。結局のところ、私がそういう新書を何冊も買っていた一番の理由は、自分の都合の良い「あるある」を探す作業をしたかったからではないかと。自分に当てはまらない箇所は切り捨て、都合が悪い箇所は目をつむり、もしくはそういう考えは賛成しないけど一理はあるよねと軽く流し、そして該当する文章を見つけては「この本にもこう書いてあるから自分は間違っていない」という自己保身のための読書。それは自分を守るための理論武装として役立つので全否定したくないですが、その一方、それ以上の行動を伴うような上向きの意識なんてありませんでした。それから年を重ね、30歳になった自分は果たしてどうなのか。

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